東京商工リサーチは、2017年度に業法・法令違反や脱税、粉飾決算などの「コンプライアンス違反」が一因の倒産件数が前年度より16件増の195件と3年ぶりに前年を上回ったと発表した。

最近5年は、2013年度が204件、2014年度がピークの216件が発生し、以降は2015年度が191件、2016年度が179件と2年連続で減少していた。2015年度以降、企業倒産の記録的な低水準とコンプライアンス意識の浸透から「コンプライアンス違反」企業の経営破綻の表面化は減っていた。しかし、大手に比べ中小企業の業績回復のピッチが鈍いことを背景に、2017年度はコンプライアンス違反倒産が3年ぶりに増加に転じた。

2017年度は欠陥エアバッグ問題で製造業では戦後最大の大型倒産となった自動車部品メーカーのタカタ、被害者が全国に広がった磁気治療器の預託商法のジャパンライフ、小学校開校を巡り国の補助金をだまし取った容疑で前理事長が逮捕された幼稚園経営の森友学園など、話題になった倒産も多かった。

違反内容では、虚偽の決算書や不適切な会計処理などの「粉飾」が2.5倍の25件と急増した。最多は滞納や脱税などの「税金」関連で69件発生した。次いで、建設業法や医師法などの業法違反、出資法、最低賃金法、特定商取引法などの法令違反、行政処分、代表者の逮捕などを含む「その他」が65件。給与未払いや最低賃金法違反などの「雇用関連」は17件。

コンプライアンス違反で倒産した195件の負債総額は、1兆8775億6200万円で、前年度比16倍増と大幅に膨らんだ。これは欠陥エアバッグ問題で大量リコールから経営危機に陥り、戦後最大の製造業倒産となった自動車部品メーカーのタカタと消費者庁から1年間に異例の4度の業務停止命令を受けるなど、被害者が全国に広がった磁気治療器の預託商法のジャパンライフの大型倒産が押し上げたため。2社を除くと、負債1億円未満が82件と4割を占め、小規模な企業倒産が主流だった。