APFCTのブースに展示されたFCスクーター。大きさは125ccクラスだが、モーターは250ccクラスの出力だとか。《撮影 高根英幸》

バッテリージャパンのブースなら電動スクーターが並んでいると、すぐに理解できる。しかし、見つけたのはFC EXPOのエリア。つまりFCスクーターが日本に上陸したのである。

燃料電池スクーターにはスズキのバーグマン・フューエルセルがあるが、あれは大型スクーター。台湾のAPFCT(アジア・パシフィック・フューエル・セル・テクノロジーズ)が展示していたのは、普通の125ccクラスと50ccクラスの小さなスクーターなのだ。

バーグマンに比べて小さいのには理由がある。高圧の水素ボンベを抱えるのではなく、小型の水素カートリッジを採用しているからだ。しかも水素吸蔵合金を内部に詰めており、低圧で安全に水素を取り扱えるようになっている。

説明員に話を聞いてみると、このスクーターを含めた小型の水素ボンベを利用した燃料電池システムを、これから台湾で実証実験するそうだ。中国と違い、台湾ではスクーターはまだエンジンを搭載しているモノが主流だとか。そのためハンドリングのいいFCスクーターが登場すれば、普及しやすい土壌とも言える。

このAPFCTの低圧水素ストレージシステムは、水を電気分解して水素を生成し、カートリッジに充填するサプライシステムと、使用したカートリッジと充填済みのカートリッジを入れ替えるためのスタンド、そしてスクーターやセニアカー、ピッキングフォークなどの小型モビリティや小型発電機によって構成されている。

今回、FC EXPOに出展したのは日本のパートナー企業探しのためだとか。以前より燃料電池を利用したモビリティの実現性がグンと高まった感のある今回のEXPOなら、名乗りを上げる企業がいるかもしれない。

シートを持ち上げると、後部に水素カートリッジを2本入れるようになっている。《撮影 高根英幸》 水素カートリッジは差し込んで回転させるとロックできる構造。《撮影 高根英幸》 っこちらがFCスタック。40セルで2.4kWの出力を発生する。《撮影 高根英幸》 水を電気分解して、水素をカートリッジに充填するサプライシステム。再生可能エネルギーの電力や工場で発生する水素を利用することも検討している。《撮影 高根英幸》 充填済みのカートリッジが並べられたスタンド。ガソリンスタンドやコンビニエンスストアに置くことを想定している。奥にあるのは50ccクラスのFCスクーター。《撮影 高根英幸》