安川電機のブースの様子(福祉機器展2017)《撮影 山田清志》

安川電機は「国際福祉機器展2017」に5種類の医療・福祉用ロボットを展示した。「CoCoroe(ココロエ)」という新ブランド名で、10月に2台のロボットを病院や介護施設向けに販売する。

安川電機といえば、世界的に有名な産業用ロボットのメーカーで、青色をしたロボットが自動車工場で活躍している。そんな同社が2013年に創立100周年に向けた「2015年ビジョン」実現のため、中期経営計画「Realise100」(13年度〜15年度)を発表した。そこで打ち出した1つが、新規事業であるロボティクスヒューマンアシスト事業、つまり医療・福祉用ロボットだった。

その中でも特にリハビリ機器に的を絞り、開発に着手。新ブランド「CoCoroe」を立ち上げ、15年には第1弾となる脊髄損傷者用歩行アシスト装置「CoCoroe ReWalk」を発売した。これは下半身をサポートする装置と杖がセットになったもので、下肢麻痺者の立位と歩行を実現するロボットだ。

そして、この10月に足首アシスト装置「CoCoroe AAD(Ankle-Assist Device)」と上肢リハビリ装置「CoCoroe AR2(Arm Rehabilitation Robot)を発売することになった。両ロボットとも、脳卒中などで手足の関節の運動機能が低下した人に正しい手足の動きができるようにアシストするというものだ。

ADDでは足関節の底背屈動作をモーターでアシストして踵から着地させ、設置中には重心の前方移動を促すように、足が地面から離れる時には蹴り出しをアシストする。「この装置で歩行訓練をすれば、正しくてスムーズな歩行がしやすくなります。下肢麻痺者の場合、つま先を持ち上げる動作がしづらく、ちょっとの段差でもつま先が引っかかってつまづくことがあります。この装置はつま先を上げるようにしていますので、つま先が引っかかってつまづくく心配がありません」と同社関係者は説明する。

一方、AR2は麻痺した腕にサポーターのようなものを装着して吊し、モーターのアシストを受けながら腕を動かしてボタンを押す練習をする装置だ。その際、電気や振動刺激を与えながら正しい動きができるようにアシストする。

「産業用ロボットとは勝手が違い、開発に時間がかかっていますが、ブランド名が認知されるようにこれから次々にこの種のロボットを出していきたいと考えています。来年にはまた1台出す予定にしています」と同社関係者は話す。

ブースには参考出品として、屋内移動アシスト装置も展示されていた。安川電機は産業ロボットで培ったモーター技術や制御技術を駆使して、医療・福祉用ロボットを次々に開発し、この分野でも存在感を高めようと考えている。

脊髄損傷者用歩行アシスト装置「ReWalk」(福祉機器展2017)《撮影 山田清志》 足首アシスト装置「CoCoroe AAD」(福祉機器展2017)《撮影 山田清志》 上肢リハビリ装置「CoCoroe AR2」(福祉機器展2017)《撮影 山田清志》 移動アシスト装置「CoCoroe TAR」(福祉機器展2017)《撮影 山田清志》 参考出品の屋内移動アシスト装置(福祉機器展2017)《撮影 山田清志》