三菱自動車は6月23日、都内のホテルで第48回定時株主総会を開いた。昨年10月に日産自動車と資本業務提携して以降、仕事のやり方などさまざまなところで日産流が進んでいるが、株主総会も同様でこれまでの日産の株主総会を見ているようだった。
午前10時になると、議長を務めるカルロス・ゴーン会長がまず日本語で挨拶し、英語で開会を宣言。常務と監査役の報告があった後、益子修社長が壇上に立った。最初に燃費不正問題を陳謝し、再発防止と信頼回復に向けた社内改革の進捗状況などを説明した。
ここまでに要した時間は40分以上で、その後、事前に書面よる質問に答え、会場の株主から質問を受けた。しかし、質問者は抽選で選ばれ、質問時間は3分。質問が長くなると、途中でゴーン会長が口を挟み、早く質問になるように促した。しかも12時を過ぎると、質問を打ち切ってしまい、採決に入ってしまった。この進め方はまさしく日産の株主総会と一緒である。その結果、株主総会の時間は昨年よりも23分短い2時間10分で終わった。
もっとも、その中身は日産のものとはずいぶん違い、厳しいものが多かった。「益子さんは10年以上、三菱自動車にいて、燃費不正を招いた張本人である。今こそやめるべきではないのか」---。
それに対して、益子社長は「責任の取り方についてはいろいろな意見や考え方があるのは十分承知している。何が最善かを考え続け、ゴーンさんにも相談したことがある。社員の先頭に立って信頼回復を目指すことが、当事者として関わってきたものの責任だ。目の前の仕事に全力を尽くすことが責任と判断した」と答えた。
一方、ゴーン会長は「益子氏を信用している。三菱の改革は三菱で行う。日産もルノーもサポートするが、実際にやるのは三菱の人だ。それに適しているのが益子氏だ。益子氏については結果に基づいて評価してほしい」と回答。
しかし、それに納得しない株主も少なくないようで、「益子氏は10年以上社長でありながら、ずっと低空飛行。これだけテレビ、新聞で問題になったのに、なぜ責任を取らないのか。やはり取るべきだ。責任を取るべきだという人に拍手をいただきたい」---。すると、会場の一部から拍手が起こった。
それに対して、ゴーン会長はこう答えた。「確かに全員が賛同していないのはわかっている。議決してみましょう。それを見て結果は受け止める。理解いただきたいのは、過半数の方が益子の選任に賛同していただければ、賛同を得ているということだ。結果を出せると信じているから、益子を慰留した」。
まさしく益子社長は針のむしろといった様相だったが、この状況は今後も続くことは間違いないだろう。益子社長としては、信頼や業績の回復はもちろんのこと、三菱らしいヒット車を日本で生み出す以外に道はなさそうだ。
手際よいゴーン会長、針のむしろの益子社長…日産化した三菱自動車の株主総会
2017年06月24日(土) 09時45分
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