ドイツの化学メーカーBASFは6月14日、自動車のカラートレンド予測を発表した。それによると2017-18年のカラートレンドのテーマは「トランスルーシッド=透明と不透明の間」としている。
BASFでは毎年、世の中の動き、社会や経済の変化を見据えて、色にどのような影響を与えるのか分析し、その結果を踏まえた上で、3年から5年先のカラートレンドを設定し、顧客である自動車メーカー各社に紹介している。
今回のカラートレンドのテーマであるトランスルーシッドについてBASFジャパンの松原千春チーフデザイナーは「直訳すると半透明という意味になる。日本人の感覚からいうと、ちょっとグレーゾーンというようなイメージと考えて頂ければいいと思う」と話す。
具体的には「私たちの今の社会では一枚のガラスを通じて社会、世界、そして個人と情報が行き来している。一枚のガラスとは何かというと携帯電話やコンピューターで、私達はそこからたくさんの情報を得て、もしくは私達個人の情報も発信している。その中には真実もあるけれども、ちょっと曖昧なグレーゾーンもあるということで、不透明が私達の社会や生活の中で重要な概念になってきている」と松原氏は解説。
その上で「不透明と透明の間をうまくスマートに行き来しながらみんなと協調しつつ、より良い方向を見つけ出していくことが求められている。グレーなゾーンは良い悪いにかかわらず、私達の今の社会では重要な概念になっているというのが今回のテーマになっている」と述べた。
BASFでは、このトランスルーシッドというテーマのもと、2つのグローバルトレンドおよび欧州・中東・アフリカ、アジア・大西洋、北米の各地域のトレンドとして65色を選定した。
このうちグローバルトレンドでは『コレクティブ・ボディ』と『フルーイド・グリッド』で表現。コレクティブ・ボディについて松原氏は「意訳すると身体へのテクノロジーの最適活用。繊細で複雑、曖昧な身体のイメージを表現した、滑らかで柔らかな肌のようなカラーがキーになっている。色調も肌のような温かみのあるトーンが主流になってくる」と説明。
具体的には温かみのあるグレーで表現している。一方、デジタル技術と人間の最適なバランスでの融合としてブルー味を帯びたグレーや深淵なネイビーを提案している。
もうひとつのグローバルトレンドであるフルーイド・グリッドは発展する流動的な概念として、無彩色からグレー味を帯びた色域で滑らかで緻密な質感を表現。さらに透明性の高い鮮やかなカラーで変化していく動的なエネルギーの力強さとスピード感を打ち出している。
またBASFでは日本のカラートレンドとして、ブルーなど寒色系が継続してけん引すると予測。ネイビーブルーやディープレッド、ダークグレーといった自動車としての基本色域が最注目されるとしている。
BASF、3〜5年先の自動車カラートレンドは「透明と不透明の間」
2017年06月14日(水) 15時36分