
ドイツの鍛造ホイールメーカーのオットーフックス(OTTO FUCHS)は、デンメル(Demmel)とのパートナーシップにより、アウディのスポーツEV『e-tron GT』向けに革新的なホイールコンセプトを開発したと発表した。
オットーフックスの鍛造ホイールは、ポルシェ『911』に純正採用されたことでも知られており、「フックス」製ホイールと呼ばれ親しまれる。
このプロジェクトでは、鍛造ホイールのフックス「フェルゲ」にホイールセンターカバーを組み合わせることで、技術的に高度で調和の取れた2つの部品の融合を実現している。
オットーフックスとデンメルの両社は、アウディの直接的なティア1サプライヤーとして機能している。プロジェクトの初期段階から、アウディ、デンメル、オットーフックスの3社の専門家によるチームが編成され、開発期間全体を通じて週次レビューで最適なソリューションに向けて共同作業が行われた。
最大の技術的課題は、ホイールとカバーを視覚的に融合させることだった。ホイールのデザインがホイールセンターカバーで一貫して継続され、寸法精度、表面品質、製造公差に最高の要求が課せられた。
特に困難だったのは、異なる製造工程の調整。ホイールでは3D鍛造とフローフォーミング、カバーでは深絞りと射出成形という異なる工程を正確に調整する必要があった。
開発では、隙間寸法の精度と表面の均一な移行、異なる表面バリエーション(バイカラークリア塗装とティンテッドシャドウブラック塗装)での研磨仕上げ、色調、テクスチャの調整、狭い半径にもかかわらず腐食保護を確保、穴の通過や加熱されたブレーキでの高速走行などの極端な条件下での動作安全性、車両所有者による簡単な取り外しと位置精度の高い再取り付け、が重視された。
さらに、材料(アルミニウムとポリアミド)の異なる熱膨張を考慮し、強い熱負荷下でもカバーの機能性と確実な装着を保証する必要があった。
両社の協力関係は継続しており、オットーフックスとデンメルは、要望に応じてエアロブレード用の特許取得済み固定システムを用意している。これは、ホイールの通気孔に統合される空力最適化されたプラスチック要素で、安全なクリップ接続により複雑なねじ止めを不要にしている。


