驚異の技術進化!ブリヂストン『REGNO GR-XIII』新時代のタイヤ性能に迫る《写真撮影 小林岳夫》

ブリヂストンは2023年12月12日に同社のプレミアムタイヤ「REGNO GR-XIII」(レグノ ジーアール クロススリー)」を発表。2024年1月23日に発表イベントと同乗試乗会を行った。

◆発売から42年、進化を続けるプレミアムタイヤ「REGNO」
イベントの会場となったのは東京の赤坂プリンス クラシックハウス。荘厳な空気に包まれた洋館は、プレミアムブランド「REGNO」にマッチする雰囲気である。REGNOというブランドが登場したのは今から42年前となる1981年のこと。当時はまだバイアスタイヤも多く、タクシーなどの乗り心地を重視するクルマはバイアスタイヤを履き、走行性能を気にするユーザーはラジアルタイヤを履くという時代だった。当時のラジアルタイヤはバイアスタイヤに対して圧倒的なグリップ差を持っていたが、乗り心地という面では、まだまだ満足な性能を発揮できるまでには至っていなかった。1981年といえば初代ソアラや6代目スカイライン(ニューマン)が市場導入された年で、日本のモータリゼーションが石油ショックから立ち直った時代。乗り心地のいいセダン、走りのいいクーペというすみ分けの時代から乗り心地も走りも両立することが求められ、それに対応するタイヤも必要とされた。そうしたなかで生まれのが初代REGNOであり、以来REGNOはモデルチェンジや追加を重ね、今回登場した「REGNO GR-XIII」で11代目となった。

◆商品設計基盤技術である「ENLITEN(エンライトン)」が進化の鍵を握る
「REGNO GR-XIII」はブリヂストンの新しい商品設計基盤技術である「ENLITEN(エンライトン)」という技術を取り入れた製品。「ENLITEN」の考え方はちょっと面白い。従来のタイヤ開発ではねらった性能を伸ばすような開発からスタートしたが、「ENLITEN」ではまずすべての性能を向上させる。乗り心地も、ドライグリップも、騒音も……すべてをいい性能になるようにしておくのが基本で、そこからさらに要求性能を向上する。従来のタイヤ開発では乗り心地を向上するとドライグリップが落ちるというような相反する事象が起きたが、「ENLITEN」の思想を取り入れまずはすべての性能をアップしているので、乗り心地を向上してドライグリップが落ちても、ドライグリップの落ちる量は低く、十分な性能を確保できるといったようなものである。

今回の「REGNO GR-XIII」に採用された新技術の一部を紹介しよう。ケース(タイヤの構造)ではケースラインを最適化し十分な張力剛性と最適な接地形状を実現する「GR-Tech Motionライン」と呼ばれる構造を採用。「GR-Tech Silentゴム」と呼ばれるノイズ抑制効果のあるゴムも採り入れられた。従来より軽いケースを実現しながら、ロードノイズが気にならない音質へのチューニングし静粛性を向上している。

トレッドパターンにはシングルブランチ型消音器と突きどおしサイプによる音圧減を実現。人間の気にならない周波数へと変換している。消音器というのは、トレッドのなかに設けられるパターンの一種で、ノイズを採り入れ減衰させる構造、突きどおしサイプとは、サイプと呼ばれる切り込みがブロックの途中で途切れるではなく、ブロックの左右をまたいでいる構造だ。

ブリヂストンが行った従来品「REGNO GR-XII」との比較では、荒れたアスファルト路面で12%の低周波ロードノイズを低減、滑らかな路面で8%の高周波ロードノイズの低減を実現しているという。ハンドリングについても向上され、ステアリング切り始めからクルマの応答速度が向上。横方向のグリップについても向上されている。なおこのデータはトヨタの先代クラウンRSに225/45R18 95W XLを履いて行ったものである。

今回のイベントでは同乗試乗という形での体験ができた。ブリヂストンのテストドライバーが運転するBMW i4の助手席に乗り、皇居周辺を1周する試乗であった。全体的にロードノイズが低減されているのはもちろんだが、音質が不快でないのが特徴的であった。自分ではステアリングを握っていないのだが、ドライバーがステアリングを切ってから横Gを感じるまでのタイムラグがなく、グッと大きな横Gを感じる。速度は速くないが横Gがピークに達してからそれを維持する様子や、終息していく様子もスムーズである。今までのREGNOは少し柔らかいというか、穏やかな特性が与えられていたが、今回の「REGNO GR-XIII」はステアリング操作に敏感に反応し高いグリップ力を得ているように感じた。プレミアム系のクルマを選ぶ層の世代が変わり、従来の国産車のような乗り味から欧州車のような乗り味を求めるようになってきているで、タイヤもこうしたセッティングに変わっていくのは当たり前のこと。今回の「REGNO GR-XIII」は、そうした市場動向を見事に読んでいるモデルチェンジだといえる。

「REGNO GR-XIII」は全51サイズを設定。26サイズについては2024年2月、25サイズについては2024年3月の発売予定。REGNOは希望小売価格を発表しているタイヤで、テストデータが公表された225/45R18 95W XLを例に取ると、「REGNO GR-XII」が5万7200円、「REGNO GR-XIII」が5万8960円で3%程度の値上げとなっている。

ブリヂストン『REGNO GR-XIII』《写真撮影 小林岳夫》 ブリヂストン『REGNO GR-XIII』《写真撮影 小林岳夫》 ブリヂストン『REGNO GR-XIII』《写真撮影 小林岳夫》 ブリヂストン『REGNO GR-XIII』《写真撮影 小林岳夫》 ブリヂストン『REGNO GR-XIII』《写真撮影 小林岳夫》 ブリヂストン『REGNO GR-XIII』《写真撮影 小林岳夫》 試乗車であるBMW i4に同乗してブリヂストン『REGNO GR-XIII』の感触を助手席で体感する諸星陽一氏《写真撮影 小林岳夫》 株式会社ブリヂストン 常務役員 製品・生産技術 開発管掌 草野 亜希男氏《写真撮影 小林岳夫》 株式会社ブリヂストン 常務役員 BSJPタイヤ販売事業管掌(REP/OE/ソリューション)兼 ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社 代表取締役社長 久米 伸吾氏《写真撮影 小林岳夫》 株式会社ブリヂストン PSタイヤ製品企画第1部 部長 橋本 賢人氏《写真撮影 小林岳夫》 ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社 専務執行役員 タイヤマーケティング戦略担当 上田 達也氏《写真撮影 小林岳夫》