正常な光度と配光《写真提供 自動車技術総合機構、軽自動車検査協会》

車検でヘッドライト審査の方法が変わり、不合格になる車が増えるかもしれない。ヘッドライトの審査は原則としてロービームを計測しているが、ロービーム計測が困難な自動車に対してはハイビームで計測していた。これが全面的にロービーム計測に切り替わるからだ。

前照灯(ヘッドライト)の車検基準(光軸、光量、色)が2015年に変更され、2018年からすれちがい前照灯(ロービーム)で測定することになった。国交省の各検査場では、過渡期取扱いとして、ロービーム計測が困難な車では以前のように走行用前照灯(ハイビーム)での測定を実施していた。

このほど周知開始から5年が経過し、審査体制の整備が完了することから、国交省では2024年8月1日以降、過渡期の取扱いを見直す。同日以降、対象自動車の前照灯の審査については、全車、ロービーム計測のみで基準適合性審査を実施する。ロービーム計測で基準不適合の場合、ハイビーム計測は行なわない。

対象の自動車は1998年9月1日以降に製作された自動車(二輪車、側車付二輪車、大型特殊自動車及びトレーラを除く)。1998年8月31日以前の製作車はこれまで通りハイビームで検査する。

自動車技術総合機構と軽自動車検査協会では、車検前の整備・調整を呼びかけている。機構と協会によると、ロービーム計測で基準不適合となる自動車は、レンズ面の劣化、内部リフレクタの劣化、前照灯ユニットと相性の悪いバルブとの交換などにより、光度が不足した状態や配光が崩れた状態のまま受検しているものがほとんどだという。

光度不足かつ崩れた配光《写真提供 自動車技術総合機構、軽自動車検査協会》 レンズ面の劣化《写真提供 自動車技術総合機構、軽自動車検査協会》 相性の悪いバルブに交換《画像提供 自動車技術総合機構、軽自動車検査協会》