e-Axle向け耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」《写真提供:NTN》

NTNは5月16日、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)で使用されるe-Axle向けの耐電食軸受「絶縁被膜付き軸受」を開発したと発表した。

近年、EVやHEVをはじめとする環境対応車の開発・普及が加速している。電動車はモータとインバータ、減速機の3つが一体化したe-Axleを搭載。e-Axleはバッテリーの電気により稼働するが、軸受内部に電流が通過した際にスパークが発生して金属組織が溶融するとはく離などの損傷につながることから、軸受には漏洩電流による電食への対応が必要とされている。

e-Axle向け絶縁被膜付き軸受は、軸受内部への電流通過を低減する絶縁被膜加工を外輪外径と幅面に施すことで耐電圧100V以上の絶縁性能を実現。モータ用軸受にかかる電圧はバッテリー電圧の10%以下と想定されるため、今後増加が見込まれるバッテリー電圧800Vに対応可能な耐電圧を有している。

また、耐電食性と放熱性を両立する膜厚とすることで標準品と同等の放熱性能を確保する。耐摩耗性に優れており、標準品と比べて外輪外径とハウジング内径の総摩耗量を88%低減。これにより、固定されていた外輪が円周方向に回転して摩耗するクリープ現象が発生した際も、絶縁に必要な被膜を維持できる。

NTNは、本商品を5月24日から26日までパシフィコ横浜で開催される「人とくるまのテクノロジー展2023」に出展する。

平行軸e-Axleにおける適用例(赤丸部分)《写真提供:NTN》 標準品では電食特有の波板状の損傷が発生《写真提供:NTN》