久留里線の終点・上総亀山駅。首都圏に近い線区では同線の久留里〜上総亀山間の輸送密度が極端に低い。《写真提供 写真AC》

JR東日本千葉支社は3月9日、千葉県と君津市に対して、久留里(くるり)線・久留里〜上総亀山間の総合的な交通体系に関する議論を申し入れたことを明らかにした。

木更津駅(千葉県木更津市)と上総亀山駅(千葉県君津市)を結ぶ久留里線は、2021年度の1日あたりの平均通過人員(輸送密度)が782人と、JR東日本が発足した1987年度と比べて7割程度減少しており、とくに末端の久留里〜上総亀山間は55人にまで減少している。

これは4月1日に石狩沼田〜留萌間が廃止されるJR北海道の留萌本線をも下回る数字で、100円を稼ぐために要す費用を示した営業係数は1万9110円と、JR東日本では陸羽東線・鳴子温泉〜最上間に次ぐワースト。留萌本線の9倍近い数字だ。年間の営業費用が2億8100万円に対し、鉄道運輸収入は100万円で、収支率はわずか0.5%。1日に稼げる額は3000円にも満たない。

千葉支社ではこれまでも駅の見直しやワンマン化などの合理化、新型車両の導入を進めてきたものの、状況を打開できるには至らず、久留里〜上総亀山間については「鉄道の特性である大量輸送のメリットを発揮できない状況である」として、今後、地域と持続可能な交通体系(いわゆる代替交通機関)を模索していく構えだ。

2012年から久留里線で運用されているキハE130形100番台。《写真撮影 草町義和》 2012年まで久留里線で運用されていたキハ37形(前)とキハ38形(後)。《写真撮影 大野雅人》 久留里駅に停車するキハ30。2009年から国鉄色に塗り替えられ、2012年まで運用されていた。《写真撮影 大野雅人》