レクサス『GS』で採用されていた一部に竹を使ったステアリング。《写真撮影 関口敬文》

12月7日から9日まで幕張メッセで開催されていた第13回高機能素材Week。材料・加工技術の総合展ということで、約900にも及ぶメーカーが出展していた。

東海理化のブースには、竹を活用し、レクサスのロゴが入ったステアリングが展示され、ひときわ目立っていた。これは東海理化と協力会社の関係である株式会社ミロクテクノウッドが製作しているパーツとなる。どのような経緯で竹のステアリングを作る事になったのか担当者に聞いてみた。

もともと東海理化ではステアリングパーツを作っていたが、その際にデザイン的な要求として、木や竹でハンドルを作れないかとリクエストされたことがあった。そこでミロクテクノウッドの協力のもと、竹でステアリングを作り、販売することになったという経緯がある。

ミロクテクノウッドの本社がある高知県には竹害の問題があり、その解決策のひとつとしても役立っている。竹の利用については、名刺入れや、釣り用リールのノブ、ヘッドホンのハウジング部分などにも活用され、すでに多くの製品化が行われている。またさらなる応用として、竹を削った際に出る粉を利用し、塩化ビニール樹脂と竹繊維を混ぜ合わせることで、触感を向上させた軟質塩ビ素材の開発も進めている。

実際にサンプルとしてシフトレバーノブが展示されていたが、竹繊維を混ぜた塩ビノブのほうが、べたつき感がなくサラサラとした触り心地で不快感が低減していた。担当者の話では、夏の車内は高温化するので、普通の塩ビ素材の場合もっとべたつき感が感じられるとのこと。車内で触れるような場所には、竹繊維を混ぜた塩ビ素材を使うことで、かなり快適度が増すのではないかと話していた。

ミロクテクノウッドにより手作業で作られているとのこと。《写真撮影 関口敬文》 スマホ用のスピーカーや名刺入れなども竹で製作している。《写真撮影 関口敬文》 DENONから発売されているヘッドホン『AH-D9200』は、ハウジング部分が竹になっている。《写真撮影 関口敬文》 見た目もテカリが少なくなっているのがわかる。《写真撮影 関口敬文》 常に手を触れるものなので、べたつき感はないほうがいい。《写真撮影 関口敬文》 触ると明らかに違いがわかるほど、さらさら感がある。《写真撮影 関口敬文》 株式会社東海理化のブース。《写真撮影 関口敬文》