ホンダセンシング取材会《写真提供 ホンダ》

ホンダは12月1日、『ホンダセンシング360』の名称で、車両周辺の死角をカバーする全方位安全運転支援システムを、中国で発売する『CR-V』に初搭載するとともに、日本市場向けには2023年中に新型車への適用を開始すると発表した。従来の「ホンダセンシング」の機能を拡充した。

また新型CR-Vに初搭載するホンダセンシング360の5つの運転支援技術に加えて、高速道路走行時のハンズオフ機能や、ドライバーに何らかの異常が発生した際に車両を自動的に減速、停止させるなど、より高度な運転支援を行う5つの機能を新たに追加して、2024年から順次展開することも明らかにした。

ホンダは2021年10月にホンダセンシング360の技術として、交差点での出会いがしらにも適用範囲を拡大した衝突軽減ブレーキを始め、前方交差車両警報、カーブでの車速調整機能、車線変更時の衝突抑制機能、車線変更支援機能の5つを発表し、2022年に中国で発売する四輪車から適用を始める方針を示していた。

◆日本市場は2023年適用開始
今回、年末ぎりぎりのタイミングではあるが、中国で現地生産、販売する新型CR-Vにホンダセンシング360が初実装されることになった。ホンダの事業開発本部ソフトウエアデファインドモビリティ開発統括部の玉川裕執行職は「順次、グローバルで展開させていく。なお日本で2023年中に新型車への適用を予定している」と述べた。

さらに玉川氏は「ホンダセンシング360は今後事故削減に向けてさらに進化させていく。事故回避支援に加えて、事故を未然に防ぐ技術の進化が必要と我々は考えている」とした上で、「より高度な運転支援を行う機能を追加したホンダセンシング360を2024年から順次展開を図っていく」ことも表明した。

新たに追加するのは、ハンズオフ機能付き高度車線内運転支援、ハンズオフ機能付き高度車線変更支援、ドライバー異常時対応システム、ドライバーの状態と前方リスクを検知し回避支援を行う技術、降車時車両接近警報の5つで、これらの技術や機能を搭載した試験車両およびデモンストレーションを報道陣に公開した。

◆ハンズオフはレジェンド搭載のレベル3技術活用
このうちハンズオフ機能付き高度車線内運転支援および高度車線変更支援は、『レジェンド』で初搭載された自動運転レベル3の技術を活用したものとなる。玉川氏によると「高精度地図の搭載によって高速道路や自動車専用道本線において同一車線内でのハンズオフが可能となり、ドライバーの運転負荷を軽減する。運転負荷が約30%軽減されることが実証できている」とのことだ。

またドライバー異常時対応システムは、近赤外線ライトを内蔵したドライバーモニタリングカメラで昼夜を問わずドライバーの顔の向きや目の開閉状況、動作の有無などを検知し、ドライバーに何らかの異常が発生した際、周囲に警告しながら減速し停車までを支援する仕組みで、「年々増加する健康起因による事故に対応したもの」と玉川氏は解説する。

一方のドライバーの状態と前方リスクを検知し回避支援を行う技術は、健康起因による事故への対応ではなく、わき見や漫然運転が原因と思われる事故を未然に防ぐことを想定したもの。

具体的には「ドライバーのステアリング操作や前方との車間距離を検知しながら、前方のリスクを予測して注意喚起や衝突注意警報をまず発して、ドライバーに事前に回避操作を促すというのが特徴。さらに回避支援については同一車線に回避スペースがあればステアリング操作で自動で回避を支援する。またドライバーが危険回避のためにステアリング操作した際にはシステムがステアリング操作をサポートして減速と同時に緊急回避行動を支援する」と玉川氏は説明していた。

ホンダセンシング取材会《写真提供 ホンダ》 ホンダ 事業開発本部ソフトウエアデファインドモビリティ開発統括部 玉川裕 執行職《写真撮影 小松哲也》 ホンダセンシング取材会《写真撮影 小松哲也》 ホンダセンシング取材会《画像提供 ホンダ》 ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能《画像提供 ホンダ》 ドライバー異常時対応システム ドライバー異常時《写真提供 ホンダ》 ドライバー異常時対応システム ワーニング《画像提供 ホンダ》 ドライバー異常時対応システム ドライバーモニタリングカメラ認識画像《画像提供 ホンダ》 ホンダセンシング取材会《写真撮影 小松哲也》 降車時車両接近警報 前席ドア《写真提供 ホンダ》 降車時車両接近警報 ドアミラー《写真提供 ホンダ》 降車時車両接近警報《画像提供 ホンダ》