根室本線新得駅と根室本線のキハ261系1000番台特急型気動車。札幌〜帯広間など都市間輸送は好調だったが、根室本線帯広〜釧路間では新車投入の減価償却費が増え、唯一収支が悪化した。《写真提供 写真AC》

JR北海道は9月7日、2022年度第1四半期(2022年4〜7月)の線区別収支状況を公表した。

それによると、対前年度比で全体的にコロナ禍から回復傾向にあり、全線区で営業収益が増加。営業損益も札幌圏や主要都市間輸送、北海道新幹線が復調した効果で、全体で41億7500万円改善したとしている。

一方、輸送密度200人以下の「赤線区」や、輸送密度200人以上2000人未満の「黄線区」では営業損益が2021年度並に推移。赤線区全体では鉄道運輸収入が300万円増加し、事実上の廃止が決まった留萌本線では保守費用が1000万円程度減少したという。

このほか、函館本線岩見沢〜旭川間で営業損益が改善したものの、根室本線帯広〜釧路間では保守費や動力費が拡大。H100形気動車など新型車両の導入により減価償却費が増加したことなどもあり、営業損失が拡大したという。

ただし、これらの数字も、コロナ禍前の2019年度と比較すると営業収益が7割強程度の水準で、営業損失は28億3300万円拡大した状態になっているとしている。

札幌圏における収支の推移。2022年度第1四半期では動力費が増加したが、減価償却費が減少。白石〜苫小牧間を中心に運輸収入が22億9600万円増加した。《資料提供 北海道旅客鉄道》 北海道新幹線における収支の推移。2022年度第1四半期は保守用機械の修繕費や動力費が増加したが、車両修繕費や減価償却費が減少したことや、コロナ禍より運輸収入が増加したことにより営業損益が5億7100万円改善した。《資料提供 北海道旅客鉄道》 赤線区における収支の推移。2022年度第1四半期の営業損益は2021年度の同時期並に。《資料提供 北海道旅客鉄道》 黄線区における収支の推移。宗谷本線名寄〜稚内間や富良野線(富良野〜旭川)で動力費が増加したものの、釧網本線を走る『くしろ湿原ノロッコ号』の利用者増や石北本線上川〜網走間の利用者数がコロナ禍から回復傾向にあることで、営業損益は2021年度の同時期並に落ち着いた。《資料提供 北海道旅客鉄道》