自動車アフターマーケット市場規模推移《グラフ提供 矢野経済研究所》

矢野経済研究所は、自動車アフターマーケット市場に関する調査を実施。2021年の国内自動車アフターマーケット市場は前年比5.5%増の20兆0473億円に拡大したことが明らかになった。

調査は自動車アフターマーケット関連事業を展開する企業・団体、および管轄官庁などを対象に、2022年4月から7月までの期間、同社専門研究員による直接面談ならびに電話・メール等によるヒアリング、文献調査併用して行った。

調査結果によると、2021年の自動車アフターマーケット市場規模は中古車販売市場の拡大もあり、前年比5.5%増の20兆0473億円と推計する。国内新車販売は、半導体不足やサプライチェーンの混乱を受けて新車の生産および納期の遅延が深刻化したことで、引き続き減少。自動車購入需要は在庫があり即納も可能な中古車に向かったことで、中古車の需要が増大した。

中古車市場では、新車の納期遅延から高年式車を中心に流通在庫が不足。国内中古車販売事業者や海外輸出事業者等による仕入競争が激化し、オートオークション(AA)における中古車価格は高騰を続けた。こうした中、2021年の中古車小売市場規模は4兆1215億円、2020年の2兆8548億円から大きく拡大した。今後も新車の納車が進まず、下取車が発生しにくいことで、中古車市場における流通在庫不足は継続。AAでの落札競争が激化することで、価格も高止まりで推移するとみられる。

2021年は新車販売の低迷が自動車保有台数の減少にも繋がり、自動車アフターマーケットの母数となる流通量が縮小する結果となった。一方、コロナ禍にて、国民のワクチン接種が進み、外出自粛が緩和されたことで、概して自動車の利用頻度は回復傾向にあるものとみる。こうした環境下では、自動車は購入による所有にこだわらず、カーシェアリングやレンタカーなど必要な時に必要な分のみ利用するサービスを求めるユーザー層も存在したとみる。

また、電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)など電動車両については、国内新車販売台数は依然として低位であり、中古車としても相場の安定や流通量拡大などはまだ先であるものとみる。一方で、自動車メーカー各社も電動化に舵を切っているため、こうした電動車両に対応するための体制づくりが普及期における即応力につながるものと考える。