ゴム製品業界 他社牽制力ランキング2021 上位10社《表提供 パテント・リザルト》

特許を申請した際に、特許を拒絶する理由として別の特許が引用される。こうした拒絶理由になった特許件数の多い企業は、「他社牽制力」があるといえる。パテント・リザルトによると2021年、ゴム製品メーカーで他社牽制力の1位はブリヂストンだった。

パテント・リザルトは、総務省の日本標準産業分類を参考にしたゴム製品メーカーを対象に、2021年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した、『ゴム製品業界 他社牽制力ランキング2021』をまとめ、7月19日に発表した。

言い換えると、技術開発において、競合他社が権利化する上で阻害要因となる、先行技術を多数保有している先進的な企業のランキングだ。パテント・リザルトの集計の結果、2021年に引用された特許が最も多い企業はブリヂストン。2位は横浜ゴム、3位は住友ゴム工業、昨年と順位が逆転した。引用されたブリヂストンの特許数は1019で、2位 横浜ゴムの640の約1.6倍。3位の住友ゴム工業は横浜ゴムよりわずかに少ない607だった。

●1位:ブリヂストン
最も引用された特許は「補強層とゴムチェーファーとの間に生じる亀裂、セパレーションを効果的に抑制する重荷重用空気入りタイヤ」に関する技術で、TOYO TIREの計7件の審査過程で引用されている。このほかには「ベルトコンベアのベルトの管理を行うベルト個体管理システム」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、横浜ゴムの計6件の拒絶理由として引用されている。2021年にブリヂストンの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は住友ゴム工業(198件)で、次いで横浜ゴム(100件)となっている。

●2位:横浜ゴム
最も引用された特許は「ビード部(ホイールとタイヤの結合部)の耐久性を向上した重荷重用空気入りタイヤ」に関する技術。TOYO TIREの計8件の審査過程で引用されている。このほかには「通電剥離用組成物ならびにそれを用いた接着剤」に関する技術が引用された件数の多い特許として挙げられ、日東電工などの計6件の拒絶理由として引用されている。2021年に横浜ゴムの特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、住友ゴム工業(138件)で、次いでTOYO TIRE(91件)となっている。

●3位:住友ゴム工業
最も引用された特許は「ビード部の耐久性を向上し、特に高内圧、高荷重で使用されるトラック、バス用の重荷重用に好適な空気入りタイヤ」に関する技術で、TOYO TIREの計7件の審査過程において拒絶理由として引用されている。2021年に、住友ゴム工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、横浜ゴム(104件)で、次いでブリヂストン(81件)となっている。

そのほか、4位 TOYO TIREは「サイドウォール部の外表面に光の反射性に変化を持たせ外観性を向上した空気入りタイヤ」、5位 住友理工は「伸縮可能で、伸長時に電気抵抗が増加しにくく、配線の酸化等による劣化が少なく耐久性に優れた柔軟配線体」が、最も引用された特許として挙げられる。

なおランキングの集計対象は、日本特許庁に特許出願され、2021年12月までに公開されたすべての特許のうち、2021年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出した。

パテント・リザルトでは、このランキングの詳細データを5万5000円で販売している。

ブリヂストンの研究開発拠点のひとつ:ブリヂストン イノベーション パーク《写真提供 ブリヂストン》 横浜ゴムの研究開発拠点のひとつ:RADIC《写真提供 横浜ゴム》 住友ゴム工業の研究開発拠点のひとつ:ダンロップ タイヤテクニカルセンター《写真 住友ゴム工業》