三菱 i-MiEV(2014年型)《写真提供 三菱自動車》

BEV(バッテリー式電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッドカー)など外部電源からの充電が可能なクルマへの関心が高まっているが、いざ手を出すとなるとさまざまな心配事がある。

自動車ニュースサイト『レスポンス』による、“実際に買ってみた人アンケート”の第2弾は航続距離や充電と並ぶ懸念材料の大物、バッテリー劣化について。

バッテリーの劣化はいったん発現すると車両の残存価値を果てしなく棄損する重大な問題である。どのくらい劣化するかは経年、充電の回数や方法、乗り方などによって差が出るというのが通説だが、電池技術者によれば使い方による差など問題にならないくらいのファクターが、アタリ、ハズレを含む“運”なのだという。今回のアンケートは小規模なものだったが、回答を見るとその運の悪さに当たったユーザーはいなかった。

典型例は三菱自動車『i-MiEV(アイミーブ)』の初期型である2010年モデルを保有しているユーザー2名で、どちらも顕著なバッテリー劣化はみられないという。うち1名はバッテリーだけでなくパワーコンディショナーの半導体の耐久性なども気にしての購入だったが、

「基本的に自宅で充電し、外出時の充電は緊急時のみという使い方ですが、新車登録から12年経過した今も快調です。ディーラーやメーカーのサポートがとても良い」

とのこと。この回答者は他に三菱『アウトランダーPHEV』も保有しているとのことで、アイミーブの負担が小さいことも長持ちの要因と推察される。

BMWも『i3』、『i3レンジエクステンダー(発電用エンジン付き)』、PHEVの『330e』とも耐久性についてはポジティブな回答。

「電池のへたりが心配だったが、バッテリーの温度管理がしっかりしており6年目でも電動で走れる距離は新車時とほとんど変わらない」(330e)

「電池の劣化が短期間で進み、交換費用が発生することが事前の不安点。購入2年ほどですが、劣化の兆候はみられず、10年ぐらいは乗れそうです」(i3 REX)

トヨタ『プリウスPHV』、三菱『アウトランダーPHEV』、『エクリプスクロスPHEV』など他のモデルも購入前にバッテリー劣化を懸念する向きは多かったが、運用後にそこを不満点として挙げるケースはなかった。

もっともハイブリッドカーを含めた電動車量はバッテリーの劣化が発生する前はきわめて満足度が高く、劣化が起こると途端に満足度がゼロ同然になるもの。小規模アンケートで問題なしだったからといって、決して見過ごしていい項目ではない。バッテリーの品質や性能が安定するまでは自動車メーカー側も長期・長距離保証を充実させ、劣化した場合は一定以上の性能に復帰させるような改修を行うなどの措置を講じるべきだろう。

三菱 i-MiEV(2014年型)の駆動用バッテリー《写真提供 三菱自動車》 三菱 i-MiEV(2014年型)《写真提供 三菱自動車》 BMW 330e《photo by BMW》 BMW 330e《photo by BMW》 BMW 330e《photo by BMW》 BMW i3《photo by BMW》 BMW i3《photo by BMW》 トヨタ・プリウスPHV《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ・プリウスPHV《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ・プリウスPHV(2017年型)の駆動用バッテリー《写真提供 トヨタ自動車》 トヨタ・プリウスPHV(2017年型)の充電システム《写真提供 トヨタ自動車》 三菱アウトランダーPHEV(2020年型)《写真提供 三菱自動車》 三菱アウトランダーPHEV(2020年型)《写真提供 三菱自動車》 三菱エクリプスPHEV《写真提供 三菱自動車》 三菱エクリプスPHEV《写真提供 三菱自動車》 三菱エクリプスPHEV《写真提供 三菱自動車》