山手線の日中自動運転はE235系1編成で行なわれる。《Photo by Manabu Takahashi/Getty Images News/ゲッティイメージズ》

JR東日本は2月10日、山手線の自動運転試験を2月中旬から下旬にかけての5日間、日中時間帯に実施すると発表した。

山手線で実施されている自動運転の試験は、2025〜2030年頃の自動列車運転装置(ATO=Automatic Train Operation)導入や、2030年頃のワンマン運転開始を視野に進められているもので、2018年度には加減速や低速走行、定位置停車の試験を、2019年度には乗り心地や駅間停車防止を視野に入れた車両制御の試験を、2020年度には将来の運行管理連携を意識した最適な列車の群制御試験をそれぞれ行なってきた。

これらは営業列車がない終電〜初電の深夜時間帯に行なわれてきたが、一定の成果を得ることができたとして、前後に列車が在線している日中時間帯での試験に踏み切ることになった。

JR東日本の自動運転は、営業列車としては2021年3月に常磐緩行線に導入されているが、これは先頭部に乗務員を乗せる「GoA2」と呼ばれるレベルの半自動運転で行なわれている。しかし、将来的には地上設備に拠らず無線により列車を制御する列車保安システム(ATACS=Advanced Train Administration and Communications System)や東京圏輸送管理システム(ATOS=Autonomous decentralized Transport Operation control System)との連携により、添乗員が中央部に乗務する「GoA3」レベルでの完全自動運転を目指しており、山手線へのATACS導入は2028〜2031年頃を予定している。

ATOやATACSの導入、ATO高性能化、ワンマン化の計画スケジュールと対象線区。《資料提供 東日本旅客鉄道》 従来の列車制御と無線式列車制御(ATACS)の比較。《資料提供 東日本旅客鉄道》 ATACSの導入により高性能化される自動列車運転装置(ATO)のイメージ。《資料提供 東日本旅客鉄道》 国土交通省の「鉄道における自動運転検討会」で示されている自動運転のレベル定義。JR東日本が目指す自動運転は、異常時に対応する添乗員が先頭部以外に乗務するGoA3。《資料提供 東日本旅客鉄道》