2021年度第3四半期では14両が増備されたH100形。2022年1月12日、函館本線小樽駅。《写真撮影 佐藤正樹》

JR北海道は2月2日、2021年度第3四半期累計(2021年4〜12月)決算を公表した。

それによると、連結では2021年9月末での緊急事態宣言解除により収入挽回策を講じたことで営業収益が3億円増加。営業費用も68億円減少し、本業では依然500億円超えの赤字が続いているが、営業外利益や経常利益を加味すると145億円の黒字になっている。

これは、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)へ2970億円を利率5%で貸し付ける「経営安定基金の下支え」により基金運用益が前年度同期に比べて2.8倍と大幅に増加したこと、キハ261系「ラベンダー編成」取得のために北海道から得た17億円の支援を特別利益に計上したことなどによるもので、支援絡みであることからJR北海道では「一過性の要因」としている。

一方、単体では、鉄道運輸収入が前年度同期と比べて35億円増加したものの、定期外収入が3四半期連続で目標に届かず、依然、赤字が続いており、コロナ禍前の2019年度同期と比べると、その5割程度に留まっている。

ちなみに第3四半期単独(2021年10〜12月)では、H100形一般型気動車の12両増備、『SL冬の湿原号』用客車の「たんちょうカー」へのリニューアル(スハフ14 505・507)、「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」の発売といった取り組みが行なわれている。

このうち「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」は、本来は2万4000円のところを、北海道が行なっている「ぐるっと北海道・公共交通利用促進キャンペーン」の補助金を活用して1万2000円で発売された点が人気を呼び、2021年12月末時点で3万枚を売り上げたが、2022年1月27日、北海道に「まん延防止等緊急措置」が発令されたことに伴ない発売中止されている。

なお、第3四半期に予定されていた「話せる券売機」の追加設置については、半導体不足のあおりを受け第4四半期(2022年1〜3月)に繰り延べとなった。

JR北海道が設置を進めている「話せる券売機」。こちらは4台追加される予定だったが、思わぬ半導体不足の影響を受け先送りされた。《写真撮影 佐藤正樹》 JR北海道の2021年度第3四半期累計決算(連結)。《資料提供 北海道旅客鉄道》 JR北海道の2021年度第3四半期累計決算(単体)。《資料提供 北海道旅客鉄道》