
住友ゴム工業は12月13日、年末社長会見を実施した。その中で山本悟社長は2021年度を振り返るとともに2022年度の社長方針について説明を行った。
山本社長によると、2021年度は世界経済全体としては回復傾向だったが、国内経済は新型コロナウイルス感染症の影響や半導体をはじめとした部品不足で生産は低調で依然として厳しい状況だったという。特に同社グループを取り巻く状況は、タイヤの原料である天然ゴム価格や石油系原材料の上昇、海上輸送コスト高騰の影響を受けたそうだ。
そんな中でも、雪道でも走行可能なオールシーズンタイヤが履き替えの手間が不要ということで、お客の間で好評となって着実に市場が拡大している。同社では3月に商用車用を発売し、4月には乗用車用のサイズ拡大、そして9月にタクシー専用のオールシーズンタイヤを発売した。
また、山本社長はソリューションビジネスに力を入れていることを強調。「タイヤ空気圧や摩耗状態、路面状況などを検知する、独自のタイヤセンシング技術『センシングコア』を核として、CASE、MaaSに貢献するとともに、安全安心で環境負荷の少ない新たなソリューションサービスも提供することで、住友ゴム工業ならではの循環型ビジネスの確立を目指していく」という。
すでに新出光など数十社と空気圧・温度管理サービスの実証実験を行ってきた。「タイヤトラブルの未然防止や、点検作業の効率化、工数削減、燃費改善に貢献できたことを確認できた」と山本社長。
例えば、ホイールに取り付けたTPMS(タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム)から取得した空気圧情報の推移を見ることによって、スローパンクを発見できた。また、点検作業の効率化では、デジタルツールの活用により手作業で行っていた点検作業が1台当たり180秒から20秒へと90%もの短縮が図れた。そのため、レンタカーやリース業者では短縮できた時間をほかの作業に活用できたと好評だったそうだ。
そのほか、燃費の改善効果では、適正な空気圧を管理することでタイヤのころがり抵抗悪化を抑制でき、燃費が約3%改善できた。しかも、センシングコアはタイヤ回転による車輪速信号からタイヤ情報を検知するもので、センサーのようなハードウエアをまったく使用しないので取り付けも容易だという。
住友ゴムではセンシングコアの提供は2023年頃になる見通しで、25年以降に外部パートナー協業した新たなソリューションサービスを展開していく計画だ。「2022年はこれまで進めてきた変革をしっかり定着させ、事業の成果に結びつけていく」と山本社長は強調していた。
