GT500クラスのチャンピオンを獲得した関口雄飛(左)と坪井翔(右)《撮影 益田和久》

静岡県・富士スピードウェイで28日、SUPER GT 2021年シーズンの最終戦となる第8戦の決勝レースが行われ、GT500クラスは#36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)が優勝。ランキング4位から大逆転でシリーズチャンピオンを獲得した。

GT300クラスは#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)が優勝。ランキングトップだった#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が3位でシリーズチャンピオンを獲得した。

GT500クラスは6チームがチャンピオン獲得の権利を持って、66周の決勝レースを迎えた。ポールポジションの#14 ENEOS X PRIME GR Supra大嶋和也はスタートを決めたが、2番手スタートでランキングトップの#1 STANLEY NSX-GT牧野任祐は1周目で3位、2周目には4位まで順位を下げてしまった。14ポイント差でランキング4位の#36 au TOM'S GR Supra関口雄飛が2位へ浮上。5ポイント差でランキング2位の#8 ARTA NSX-GT福住仁嶺が5位の位置につけたが、この順位なら#1 STANLEY NSX-GTの山本がチャンピオンを獲得できる状況だ。

3周目に最終コーナーで#12 カルソニック IMPUL GT-R松下信治、#17 Astemo NSX-GTベルトラン・バゲット、#19 WedsSport ADVAN GR Supra国本雄資が絡む事故があり、バゲットはリタイヤ。松下も大きく順位を下げ、タイトル争いから脱落してしまった。

8周目にはGT300クラスのマシンがコースサイドにストップしてしまい、セフティーカーが導入された。2位に約8秒の差をつけてトップを快走していた大嶋だったが、これで差がゼロに。13周目にリスタートすると、2位の関口と3位の#37 KeePer TOM'S GR Supraサッシャ・フェネストラズが前に出て、大嶋は3位に転落した。これでトップに立った関口だが、逆転チャンピオンを獲得するにはまだ5ポイント足りない。逆に牧野からしたら、チームメイトの山本がチャンピオンを獲得するためにはこれ以上順位を落とせない。タイトル争いもギリギリの戦いが続いた。

22周目からドライバー交代、タイヤ交換のためのピットインが始まり、31周目にすべてのピットインが完了。関口から坪井翔にドライバー交代した#36 au TOM'S GR Supraがトップをキープし、#14 ENEOS X PRIME GR Supra山下健太が1ポジションアップして2位に。#37 KeePer TOM'S GR Supra平川亮は3位にダウンした。#1 STANLEY NSX-GT山本尚貴は4位のポジションをキープ。5位だった#8 ARTA NSX-GTは福住から野尻智紀にドライバーチェンジしたが、その際に扉のトラブルが発生。10位まで順位を落としてしまった。

その後上位は大きな順位変動がなくレースが続き、山本の2年連続チャンピオン獲得は間違いないものと思われた。しかし51周目の1コーナーでGT300のマシンと接触。サスペンションを痛めてピットに入った。修理には約7周分の時間を要しポイント獲得は絶望的に。これでタイトル獲得の可能性はほぼなくなってしまった。

このままの順位だと、トップの#36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)は64ポイントでチャンピオンを獲得できる計算だ。ピットイン時のトラブルから追い上げ5位まで順位を上げてきた#8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)は61ポイントで3ポイント足りない。#36 au TOM'S GR Supraが2位に落ちるか、#8 ARTA NSX-GTが3位に上がれば逆転だ。

#36 au TOM'S GR Supra坪井は慎重に、かつハイペースでトップを快走した。#8 ARTA NSX-GT野尻は前を走る#38 ZENT CERUMO GR Supra石浦宏明に襲いかかるが、その隙きをついた#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra中山雄一に抜かれてしまい、逆にポジションダウン。最終的にそのままの順位でチェッカーを迎え、#36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)が今季初優勝を飾り、チャンピオンを獲得した。

チームTOM'Sのチャンピオン獲得は2019年#37 KeePer TOM'S LC500の平川亮/ニック・キャシディ以来2年ぶり。36号車は2009年の脇阪寿一/アンドレ・ロッテラー以来12年ぶりのチャンピオン獲得となった。

2位は#37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ)、3位は#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)。GR Supra勢が表彰台を独占したとともに、4位に#39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)、5位に#38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)が続き、上位5台がすべてGR Supraという快挙を成し遂げた。

GT300クラスはポールポジションでランキングトップの#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が順位を6位まで落としたが、そこから挽回し3位でフィニッシュ。スバルが参戦25年目にして初のタイトルを獲得した。優勝したのは3番グリッドから激しいトップ争いを制した#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)。2位には#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)が入った。

◆SUPER GT第8戦富士、GT500クラス決勝レース結果(トップ10)
1. #36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)
2. #37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ)
3. #14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)
4. #39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
5. #38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
6. #8 ARTA NSX-GT(野尻智紀/福住仁嶺)
7. #23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)
8. #3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/千代勝正)
9. #12 カルソニック IMPUL GT-R(平峰一貴/松下信治)
10. #16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT(笹原右京/大湯都史樹)

◆SUPER GT第8戦富士、GT300決勝レース結果(トップ10)
1. #60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)
2. #65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)
3. #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)
4. #4 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也)
5. #56 リアライズ日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)
6. #25 HOPPY Porsche(松井孝允/佐藤公哉)
7. #244 たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
8. #11 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)
9. #10 GAINER TANAX with IMPUL GT-R(星野一樹/石川京侍)
10. #52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)

GT500クラス優勝の#36 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/坪井翔)(手前)《撮影 益田和久》 GT500クラス2位の#37 KeePer TOM'S GR Supra(平川亮/サッシャ・フェネストラズ)《撮影 益田和久》 GT500クラス3位の#14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)《撮影 益田和久》 GT500クラス、チャンピオン獲得まであと一歩のところでマシンを破損した#1 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)《撮影 益田和久》 GT500クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT300クラスのチャンピオンを獲得した井口卓人(左)と山内英輝(右)《撮影 益田和久》 GT300クラス表彰式《撮影 益田和久》 GT300クラス優勝の#60 SYNTIUM LMcorsa GR Supra GT(吉本大樹/河野駿佑)《撮影 益田和久》 GT300クラス2位の#65 LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)《撮影 益田和久》 GT300クラス3位でチャンピオンを獲得した#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)《撮影 益田和久》 富士山をバックに走る#61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)《撮影 益田和久》