左から日産自動車日産第一製品開発部車両開発主管渡邊明規雄氏、メルセデス・ベンツ日本営業企画部部長の亀岡徹氏、本田技術研究所デザインセンターBEVスタジオアシスタントチーフエンジニアの廣田貴士氏、本田技術研究所先進技術研究所エグゼクティブチーフエンジニアの杉本洋一氏《写真撮影  内田俊一》

特定非営利活動法人日本自動車殿堂は2021-2022のイヤー賞の表彰式を開催。カーオブザイヤーは日産『ノートオーラ』、インポートカーオブザイヤーは、メルセデスベンツ『EQA』、カーデザインオブザイヤーはホンダ『ヴェゼル』。そして、カーテクノロジーオブザイヤーは、ホンダ『レジェンド』に搭載されたホンダセンシングエリートが受賞した。

2021から2022日本自動車殿堂イヤー賞は、昨年度の10月16日から今年度10月15日までの1年間に発売された新型乗用車を評価、投票することによって4賞を決定。選考委員は、学会の学識経験者、大学教授、先生、および自動車業界での開発・研究経験者、総勢59名に依頼。選考方法は、59名の選考委員が調査、分析、評価、投票し、その内容をデータ処理。「このデータは特徴ある独身の統計分析処理をすることによって数値化し、さらに客観化、定量化が可能となった」とイヤー賞選考委員会委員長の寺本健氏から説明があった。

◆2021-2022日本自動車殿堂カーオブザイヤー:日産ノートオーラ
品位あるきめ細やかな上質感を持つ先進コンパクトであり、高い遮音技術とプライベート音響空間の創造。そして、第2世代e-POWERによる高い静粛性と走行性が実現されていることが評価された。得点は1600満点中、1158点。

日産自動車日産第一製品開発部車両開発主管渡邊明規雄氏は、「ノートオーラは従来のコンパクトカーの常識を超える、快適で上質な移動体験をお客様にご提供すべく、全社一丸となって開発した。まだ発売後約3ヶ月ではあるが、非常に多くのお客様からそのコンセプトを好評され、さらに今回のように専門家に高く評価されたことは開発陣の励みになる」とコメント。

そして、「まだノートオーラは生まれたばかり。これから今回の受賞に恥じない名車に育てるべく、全社一丸となってこれからも取り組んでいきたい」と抱負を語った。

◆2021-2022日本自動車殿堂インポートカーオブザイヤー:メルセデスベンツEQA
プログレッシブラグジュアリーデザインを具現化したEVであり、先進技術によってEVでありながら衝突安全性を高度に支援。また、コネクテッド技術による安心・安全ライフの提供が評価された。得点は1600満点中1302点。

メルセデス・ベンツ日本営業企画部部長の亀岡徹氏はEQAについて、「電気自動車があるライフスタイルを、安心して楽しんでいただけるメルセデスらしい一台に仕上がっている」と述べる。特に、「SUV であること、そして電気自動車であること、メルセデスベンツであること。この三拍子が揃っているからだ」という。SUVとしては、「スタイリッシュで都市部でも持て余さないちょうどいいサイズ感。そして、SUV であることで車高が高いことから、荷物の積み下ろしがしやすく、かつ乗り降りもしやすいといった利便性」を評価。

また、電気自動車ということで、「電気自動車ならではの加速感と、静粛性。そして乗ってみて初めて分かる、独特のドライビングフィールによる楽しさがある。そしてメルセデスベンツの真骨頂である、安全性と快適性が組み合わさっている」と紹介。

亀岡氏は、「メルセデスベンツは“アンビション2039”というロードマップを発表し、持続可能な社会の実現に向けた重要な柱のひとつとして、電動化に取り組んでいる」と話す。それは、「2022年には全セグメントにおいて電動化のモデルを導入し、世界の工場においてCO2ニュートラルを実現する予定で、2025年までには、世界における新車販売の50%を電気自動車、プラグインハイブリッド車に。そして2030年までには、市場が許す全地域において全面電動化を実現する準備を進めている」。日本においても、「この本社の計画に準じて電動化を進めていくが、何よりも我々はインポーターとして、日本のお客様の要望にひとつでもお応えできるよう、そしてこの新しい電動化社会に貢献できるよう日本の状況を逐一本社に報告、要望し、1台でも多くのクルマをお客様に乗っていただき、社会貢献していけるよう尽力していきたい」と語った。

◆2021-2022日本自動車殿堂カーデザインオブザイヤー:ホンダヴェゼル
次にカーデザインオブザイヤーはホンダのヴェゼルが受賞。1300満点で1106点。

独自のM・M思想(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)をSUVに具現化するとともに、スタイリングの最適化で優れたSUVの空力性能を達成。爽快な視界を生み出すスリーク&ロングキャビンを具現化したことが受賞理由とされた。

本田技術研究所デザインセンターBEVスタジオアシスタントチーフエンジニアの廣田貴士氏は、授賞式においてヴェゼルのデザインに込めた思いを次のように語った。「チームの定めまたAMP UP YOUR LIFEをコンセプトに、機能やスペックだけではない、日常生活の質向上や行動範囲を広げられるクルマ創りを目指した」。

まずクルマの骨格となるパッケージでは、「独自のM・M思想に基づき、パッケージを追求し、先代に比べ全長と全幅をキープしながらも、全高を下げ、1クラス以上の後席の居住性を実現。同時にシートアレンジや積載性も両立し、伸びやかで美しいスタイリングを実現した」という。

また、「普遍的美しさ、スリークプロポーションとしながらも、デザインイメージを崩さないインテグレートされたノイズレスな空力デザインを、風洞テストを繰り返しながら熟成した」。さらに、「乗車体験つながる爽快視界では、スリーク&ロングロングキャビンを支える前後に勢いよく抜ける水平基調のショルダーラインを起点に、運転のしやすさや、後席の開放感など、どの席においても爽快視界を感じていただけるよう、空間づくりにこだわった」と述べる。そして最後に、「このデザイン実現にあたり、開発メンバー、サプライヤーの方々のご理解とご尽力があったからこそ、本日の賞を賜ることができた」と感謝の意を表した。

◆日本自動車殿堂カーテクノロジーオブザイヤー…ホンダセンシングエリート、ホンダレジェンド
渋滞運転機能により、自動運転レベル3の実用化。安全性、信頼性を確保した冗長設計。高精度・多重情報を活用した優れた車両制御が評価され受賞した。

本田技術研究所先進技術研究所エグゼクティブチーフエンジニアの杉本洋一氏は、ホンダセンシングエリートについて、「多くの先進安全機能を実現したが、中でもとりわけ渋滞運転機能、トラフィックジャムパイロットは世界で初めての自動運転レベル3の機能となった」と紹介。「自動車という言葉は英語ではオートモビルというが、自ら動くということを意味している。殿堂入りした東大の平尾先生(平尾収氏 2001年殿堂入り)は、自動車というのは人間が動かしている、人動車といわれた。まさに人が動かす、人が主体的に動かすのが従来のクルマだった」と定義。そして、「それが初めて、自動運転のシステムが主体となってクルマを動かす、自動車になる。つまり新しい時代が始まったのかなと思う」とコメント。

杉本氏は、なぜ自動運転に取り組んだかについて、「自動運転を実現するためには、自動運転は自ら事故を引き起こしてはならないという安全性を証明する必要がある。これは非常に大きなチャレンジで、その理由は安全に対する我々の思がある」という。それは、「安全を追求する、1日でも早く事故のない社会を実現したいという思いをもとに、我々は開発に取り組んだ」。そして、「これからも我々は事故ゼロ社会を目指し、自由な移動の喜びを全ての人に提供したいという思いで自動運転の技術、さらに、運転支援の技術に取り組んでいきたい」と今後に向けての思いを語った。

本田技術研究所デザインセンターBEVスタジオアシスタントチーフエンジニアの廣田貴士氏《写真撮影  内田俊一》 日産 ノートオーラ《写真提供 日本自動車殿堂》 xxx《写真撮影  内田俊一》 メルセデスベンツ EQA《写真提供 メルセデス・ベンツ日本》 ホンダ・ヴェゼル《写真提供 日本自動車殿堂》 ホンダ・ヴェゼル《写真提供 日本自動車殿堂》 ホンダ・ヴェゼル《写真提供 日本自動車殿堂》 ホンダ・ヴェゼル《写真提供 日本自動車殿堂》 ホンダセンシングエリート、ホンダレジェンド《写真提供 日本自動車殿堂》 ホンダセンシングエリート、ホンダレジェンド《写真提供 日本自動車殿堂》 ホンダセンシングエリート、ホンダレジェンド《写真提供 日本自動車殿堂》 日本自動車殿堂2021-2022イヤー賞表彰式《写真撮影  内田俊一》