WHILLモデルF《写真撮影 関口敬文》

WHILL(ウィル)は、軽量化を実現した折りたたみ可能な新型の電動車イス『WHILLモデルF』の販売を11月1日より開始する。

モデルFは、同社からすでに発売されている『モデルC2』とは異なり、折りたたみができるため、スペースに制約のあるマンションでも収納が可能になったり、列車などへの持ち込みも容易になるといった利点がある。モデルC2と比較した場合、重さは約27kg(バッテリー込み)と半分ほどになり、価格は26万8000円(非課税)と約20万円も安くなっている。また航続距離は軽量化により20kmと2kmほど伸びた。搭載しているバッテリーはモデルC2と共通で充電時間は5時間、移動最高速度は6km/h。

WHILLモデルFの発表に併せて、新サービスの提供も発表された。自宅やホテルにモデルFを届けるレンタルサービス『ウィル 日額レンタル』の提供が11月1日から開始される。レンタル期間は、3〜30日間のうち8つのレンタル日数から希望にあった期間を選ぶことができる。レンタルする際には、専用のウェブサイト上から簡単な手続きをするだけで、指定の場所にモデルFを届けられる。料金は3日間レンタルの場合、1日あたり3840円(非課税、送料別)。

◆どんな状況においても移動が楽しいというプラットフォームを作りたい

今回の発表に伴い、東京都内でメディア向け発表会が開催された。発表会では杉江理代表締役兼CEOが登壇し、ウィルのミッションやサービスを説明した。

「弊社のミッションは『すべての人の移動を楽しくスマートにする』というもの。先進国の歩行困難者の数は2億人いると言われ、さらにすべての国で高齢化社会に直面しているため、加速度的に歩行困難者は増えている。そこで我々は近距離の移動に関してのサービスやプロダクトを提供していこうとしている」

「近距離の移動手段としては昨今、シェアリング自転車や、キックボードなどのサービスが開始されているが、歩行困難な方々にはそのサービスを享受できない。我々は、そのギャップを埋めるようなサービスやプロダクトを作っていきたいと考えている。どんな状況においても移動が楽しい、移動に不安を感じないというプラットフォームを作りたい」

「この思いを実現すべく我々が現在行っているサービスは3種類ある。ひとつ目は、空港内や病院内で数百メートルの移動手段として、自動運転のモビリティサービス。これは一時利用として展開している。次に1日、1週間と、旅行先で使いたいといった短期利用のモビリティレンタル。これは北米でサービスを開始している。そして3つ目は、日常利用できるものとして、モビリティの販売、そして長期レンタルも行っている。このような形で短期から長期までの移動のプラットフォームを構築し、現在20カ国以上の国と地域で製品とサービスの提供をしている」

新製品の発表の前に、ウィルが2021年10月にアンケート調査した結果が公表された。アンケートの内容は、「65歳以降(定年後)になにかしたいことがあるか?」といったもの。その結果、8割以上の人がなにかしたいことがあると回答したとのこと。ところが65歳以上で、歩きづらさを感じている方は1000万人いると言ったデータがあり、じつにシニアの3分の1は歩きづらさを感じているということになる。そういった歩きづらさを感じている方に向けた新しいプロダクトが今回紹介する新製品とのことで、WHILLモデルFが杉江氏によってアンベールされた。

◆公共交通機関との相性を高めることでライフスタイルは変化する

WHILLモデルFの商品説明については、事業開発・戦略室の赤間礼プロジェクトマネージャーが登壇した。

「電動車イスのこれまでの課題は、大きく分けて3つあると考えた。ひとつ目は玄関など保管場所が狭く置き場所に困るということ。ふたつ目は重く、持ち運びが困難ということ。3つ目は価格が高いということ。こういった声は数多く寄せられており、電動モビリティが新たな移動手段として選ばれない理由ではないかと考えていた。そこでこのような課題を解決すべくWHILLモデルFを開発した」

「とくに折りたたみに関しては、世界で一番簡単で素早い折りたたみ機構を目指して開発した。ユーザーには、もっと行きたい場所に行けてもっとやりたいことが気軽にできるという、ライフスタイルを提案していく。タクシーのトランクに積み込んだり、電車に持ち込んだり、さらには飛行機にも簡単に積むことができる。このような公共交通機関との相性を高めることで、より遠くの出張先や旅行先に行けるなど、ライフスタイルが変化していくのではないかと考えている」

「色に関しては、5色のラインアップとなっている。ベーシックなホワイト。晴れた青空の下で晴れやかなお出かけが楽しめるライトブルー。旅行がもっと楽しくなるようなレッド。ビジネスシーンにもマッチするブラック。アクティブに動きたくなるようなライトグリーンだ」

「WHILLモデルFの発表により、ウィルのラインアップはモデルC2とモデルFのふたつとなる。それぞれ特徴の異なる商品なので、使われる方のライフスタイルや好みに応じて商品を選んでほしい」

◆来年には中国、北米、欧州でも発売したい

再び杉江氏が登壇し、新しいサービスについても発表が行われた。

「ウィルの日額レンタルを追加する。従来も月額のレンタルのサービスは展開していたが、旅行先などスポットでの利用を想定した日額レンタルのサービスを開始する。このサービス開始には理由がある。先ほども説明させていただいたが、65歳以降(定年後)にしたいことの上位が国内旅行、海外旅行と、旅行が圧倒的に多い。そこで旅行先でモビリティを気軽に使えるサービスとして日額レンタルサービスを拡充した。サービス開始時期については、本日よりウィル株式会社のホームページ、電話での問い合わせ受付を開始する。モデルFの販売は、11月1日より、ウィルのホームページ、電話、全国の取扱店にて開始される」

「モデルFは日本に続き、来年には中国、北米、欧州でも発売したいと考えている」とプレゼンテーションを締めくくった。

代表締役兼CEO・杉江理氏が登壇。《写真撮影 関口敬文》 65歳以降になにかしたいと答えた人は8割に上った。《写真撮影 関口敬文》 1000万人もの方々が歩きづらさを感じている。《写真撮影 関口敬文》 イメージ映像も交えて説明が行われた。《写真撮影 関口敬文》 アンベールされたWHILL Model F。《写真撮影 関口敬文》 プロジェクトマネージャーの赤間礼氏が、Model Fについて説明した。《写真撮影 関口敬文》 タクシーの客室にも詰め込める。《写真撮影 関口敬文》 タクシーのトランクにもぴったり収まるサイズ感。《写真撮影 関口敬文》 65歳以降にしたいことの上位は旅行が多いとの結果に。《写真撮影 関口敬文》 カラーバリエーションのひとつ、レッド。《写真撮影 関口敬文》 カラーバリエーションのひとつ、ライトブルー。《写真撮影 関口敬文》 カラーバリエーションのひとつ、ライトグリーン《写真撮影 関口敬文》 カラーバリエーションのひとつ、ブラック。《写真撮影 関口敬文》 バッテリーは取り外して、家庭用コンセントで充電可能。《写真撮影 関口敬文》 メッシュタイプのバスケットは、別売のアクセサリー品となる。《写真撮影 関口敬文》 ドリンクホルダーもオプション品で購入できる。《写真撮影 関口敬文》 歩行困難者が利用することを考え、杖ホルダーもオプション品として用意。《写真撮影 関口敬文》