全国企業倒産件数の推移《図版提供 東京商工リサーチ》

東京商工リサーチが10月8日に発表した2021年度上半期(4〜9月)の全国企業倒産状況によると、倒産件数は前年同期比23.8%減の2937件。2年連続で前年同期を下回った。

1972年度以降の50年間で最少だった1990年同期(3070件)を下回り、最少記録を更新。コロナ禍での国や自治体、金融機関による緊急避難的な支援策が奏功し、倒産は記録的な低水準を持続している。

負債総額は同4.0%減の5746億2600万円で2年ぶりの減少。1972年度以降では1973年度(3631億0100万円)に次いで、3番目の低水準だった。3年ぶりに負債1000億円以上の倒産が発生したものの、倒産件数の減少が負債総額を押し下げた。なお、新型コロナウイルス(SARS=CoV-2)関連倒産は、年度上半期で816件(前年同期495件)発生した。

産業別倒産件数は、全10産業で前年同期を下回った。全10産業の減少は2015年同期以来、6年ぶり。農・林・漁・鉱業と建設業、製造業、卸売業、小売業、金融・保険業、不動産業の7産業は、年度上半期では30年間で最少を記録した。最多は、サービス業他の986件(前年同期比24.5%減)で6年ぶりに前年同期を下回った。そのほか、建設業は527件(同6.7%減)で13年連続で減少。卸売業は388件(同25.2%減)で9年連続、情報通信業は107件(同26.7%減)で3年連続、製造業316件(同29.4%減)と小売業349件(同35.8%減)、運輸業114件(同1.7%減)は2年連続で、それぞれ前年同期を下回った。農・林・漁・鉱業28件(同52.5%減)と不動産業110件(同18.5%減)は3年ぶり、金融・保険業は12件(同40.0%減)で2年ぶりにそれぞれ減少した。

地区別では、2013年同期以来、8年ぶりに全9地区で前年同期を下回った。また、四国を除く8地区は、年度上半期では30年間で最少を記録した。北海道は61件(同32.2%減)で、2013年以降、9年連続で前年同期を下回った。東北は113件(同33.5%減)と関東は1121件(同16.6%減)、北陸は81件(同19.8%減)、近畿は783件(同25.3%減)、四国は76件(同7.3%減)、九州は223件(同26.6%減)、いずれも2年連続で前年同期を下回った。中国は117件(同37.0%減)で4年ぶり、中部は362件(同31.8%減)で2年ぶりに減少した。