GMは9月21日、次世代EVパワートレインの「アルティウム・ドライブ」向けに、3種類の電気モーターを新開発した、と発表した。
◆次世代EVパワートレイン「アルティウム・ドライブ」に使用
GMは、次世代EVパワートレインを、アルティウム・ドライブと呼ぶ。中でも、「アルティウム・バッテリー」は、大容量のパウチ型セルをバッテリーパック内で垂直にも水平にも積み重ねることができる方式を採用している。これにより、エンジニアは各車両のデザインに応じて、バッテリーの蓄電容量やレイアウトを最適化することができるという。
GMは、アルティウム・バッテリーの蓄電容量が50〜200kWhで、航続はフル充電で最大644km以上、0〜96km/h加速は最速で約3秒を想定している。自社開発による電気モーターは、前輪駆動(FWD)、後輪駆動(RWD)、全輪駆動(AWD)、パフォーマンスAWDに幅広く対応している。
アルティウム・バッテリーで駆動するEVは、レベル2の直流(DC)急速充電に対応して設計されている。ほとんどの車両が、400ボルトのバッテリーパックで最大出力200kWの急速充電機能を持ち、ピックアップトラック向けプラットフォームでは、800ボルトのバッテリーパックで350kWの急速充電機能を備えている。
◆3種類のモーターで最も強力なのは出力255kW
GMはこのアルティウム・ドライブ向けに、3種類の電気モーターを新開発した。すべてGMが自社設計したもので、出力180kWのフロントドライブモーター、出力255kWのリアおよびフロントドライブモーター、出力62kWの全輪駆動アシストモーターとなる。 3種類のモーターはすべて、アルティウムベースの次世代EVで最高レベルのパフォーマンスを実現するために、GMがチューニングを担当した。3種類のモーターはモジュラー設計となっており、基本的な構造などを共有している。
出力180kWと255kWのモーターは、重希土類の使用を最小限に抑えることを目的として設計された永久磁石モーターだ。優れたトルクと出力密度を備えており、高性能車からトラックまで、幅広い車種に搭載することを想定している。
1台のEVに、最大3つの電気モーターが搭載できる。例えば、GMC『ハマーEV』の最上位グレードでは、3つの255kWモーターが搭載され、GMの推定出力は1000hpに到達する。
◆ハマーEVの0〜96km/h加速3秒を可能にするソフトウェア技術
GMのエンジニアは、アルティウム・ドライブのモーターコントローラー用のソフトウェアも開発した。最小限のコンポーネントにより、さまざまな車両のパワートレインニーズに対応するのが狙いだ。
GMのEV用モーターを制御するソフトウェアは、多くのアプリケーションで再利用でき、市場投入までの時間を短縮し、将来のEV拡張の基盤を提供する、と自負する。モーターは、GMのEVフルラインナップに必要な電力を提供するのに充分な汎用性を備えているという。
GMは、バッテリーからのDC電圧をAC電圧に変換して、モーターに電力を供給するパワーインバーターモジュールやインバーターなどの主要なパワーエレクトロニクスコンポーネントのソフトウェアも設計した。ハマーEVのローンチコントロールモードの「Watts to Freedom」の0〜96km/h加速およそ3秒は、主にモーター制御、パワーエレクトロニクス、モーターの設計と開発における能力に加えて、GMの電動パワートレイン向けソフトウェアのノウハウによるものだという。
インバーターと付属するパワーモジュールやオンボード充電モジュールなどの他のパワーエレクトロニクスは、現行EVではドライブユニットの外側に配置されている。アルティウムベースの次世代EVでは、アルティウム・ドライブのユニットに組み込まれ、コストと製造の複雑さを軽減する。
一部のパワーエレクトロニクスは、現行のGMの同等品よりも質量と体積が50%少なくなり、機能は25%増えるという。なお、アルティウム・ドライブのユニットに搭載されたGMの新しいモーターとパワーエレクトロニクスは、2021年後半にGMCハマーEVでデビューする予定、としている。
GM、次世代電気自動車向けのモーターを新開発、ハマー EVに初搭載へ
2021年09月22日(水) 17時15分
関連ニュース
- 鉱山向け超大型ダンプを燃料電池で動かす、GMとコマツが共同開発へ (12月13日 14時00分)
- 米ビッグ3 同時スト終結へ---GMも 「25%賃上げ」暫定合意[新聞ウォッチ] (11月01日 08時45分)
- 悲喜こもごものモビリティショー2023、いっぽうホンダ・GMは量産EVの共同開発を中止[新聞ウォッチ] (10月26日 08時45分)