欧州連合(EU)は、2035年までにガソリン/ディーゼルともにエンジン車の販売を禁止する方針《写真提供 BMW》

電気自動車(EV)の導入に大きく動いているのは欧州だ。欧州連合(EU)は、2035年までにガソリン/ディーゼルともにエンジン車の販売を禁止すると打ち出した。

これが実行されれば、エンジンを搭載するハイブリッド車(HV)はもちろん、モーター走行ができるプラグインハイブリッド車(PHEV)も販売禁止の対象になる。

◆各国で規制が拡大


EVを新車販売に強制的に加えることを求める米国のZEV(排出ガスゼロ車)規制は、1990年にカリフォルニア州ではじまった。以後、東部と西部の州を中心に実施されてきたが、今年8月にバイデン大統領が2030年までに新車販売のZEV比率を50%にするとの大統領令に署名した。全米の取り組みへ拡大されたのだ。ZEVには、EVと燃料電池車(FCV)、そして当面はPHEVも含む。

市場拡大が著しい中国も、米国のZEV規制に似た方針であるNEV(新エネルギー車)を打ち出し、HVを含め、エンジン車以外の導入を積極的に進めている。2035年までにエンジン車の新車販売を禁止し、HV以上を目指す動きだ。

◆日本ではEVとPHEVの普及に遅れ



日本はこれまで、ウェル・トゥ・ホイール(Well to Wheel)の視点で、燃料の確保から新車製造、走行までの排出ガスゼロを目指す方針で、2030年度へ向け16年度実績を踏まえ32%の燃費向上を目指すとしてきた。EVやPHEVの強制導入はないため、EVとPHEVの普及が遅れている。

一方、HVの販売は、30年の目標比率である市場の30〜40%をほぼ達成する34.2%を19年に実現した。ただし1月の施政方針演説のなかで菅義偉総理大臣は、35年までにすべてを電動車にするとした。一方、自動車工業会はEVのみではなくHVも含むことを主張している。

◆充電設備の整備が加速



EVとPHEVは充電設備が必要だ。国内の整備状況は、急速充電で約7800基、これに200V(ボルト)の普通充電を含めると、現在のガソリンスタンド並み(3万件弱)の数に近づいている。このうち高速道路の急速充電器は、25年までに充電口数を現在の約2.5倍の約1000口にする動きがある。

FCVの水素ステーションは、いまだ150か所程度に止まり、常時営業しているのは半数ほどだ。理由は、総数のなかに臨時の設備(トレーラーでの移動式など)を含んだり、営業時間が限られていたりするためである。

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