「Yahoo!カーナビ」では8月11日より新機能「スピード注意情報プラス」を追加できるようになった(写真:Yahoo!JAPAN)

ヤフーは8月11日、カーナビアプリ「Yahoo!カーナビ」(iOS版)向けに新機能「スピード注意情報プラス」の提供を開始した。移動式オービスによる速度違反や検問による違反取り締まりも反映できるその情報は、どうやって精度を高めているのかを開発者に聞いた。

◆「スピード注意情報プラス」は移動式オービスや検問情報も通知

「Yahoo!カーナビ」ではこれまでも固定式オービス情報を通知してきたが、「スピード注意情報プラス」は月額250円の課金によって利用が可能となる新機能として提供されるものだ。具体的には、地図上にその位置をアイコンで知らせるだけでなく、ルート案内中に取り締まりを行っているエリアに近づくと音声でドライバーに通知する。これによってドライバーに安全運転に向けた注意喚起を促すことを目的としている。

誤解されやすいのであらかじめ伝えておくと、この機能はレーダー探知機のように、オービスやレーダー等を「探知」して知らせるものではない。ネット上で収集した情報をもとに、その位置を特定してアップロードした取り締まりポイントを地図上に反映するというものだ。その情報を提供するのはこれまでiOS向けに提供してきた「オービスガイド(全国オービス情報サイト)」を開発したパソヤで、同社のサーバーにアップされた情報をリアルタイムで「スピード注意情報プラス」に提供することで機能は成り立っている。

その「スピード注意情報プラス」で最大のポイントとなるのが、既存の固定式オービス通知機能に加え、「移動式オービス」「ネズミ捕り」「検問」といった取り締まり情報も通知対象としていることだ。ご存知のように固定式オービスはデータさえ整備すればアプリ上に反映できる。しかし、移動式オービスや検問といった不特定の場所で不定期に行われる取り締まりに対しては情報をその都度更新する必要がある。特に反映についてはスピードが要求されるのは言うまでもない。誰もがその情報の信憑性については気になるところだと思う。

そこで、情報提供元であるパソヤにこの辺りの状況についてに訊ねてみた。答えてくれたのは開発を担当した大須賀克巳さんだ。

◆提供情報は過去10年のノウハウを活かし、情報精度を高めた

大須賀さんによると、移動式オービスや検問などの取り締まり情報は、「オービスガイド」に備えた情報共有機能を反映したものを基本としており、そこには移動式オービス/ネズミ捕り/検問の情報が含まれているという。つまり、「オービスガイド」利用者がアプリ上でアップロードした情報が元となっているのだ。そして、送られてきた情報はほぼリアルタイムでヤフー側へ提供され、その後はヤフー側で処理される段取りになっているという。

一方、この情報を受け取ったヤフー側でも「完全なリアルタイムではないが、高頻度で定期的に更新して対応している(Yahoo!JAPAN広報部)」とのこと。基本的に反映スピードという点では問題がなさそうだ。

では、この情報の信憑性はどうやって高めているのか。大須賀さん曰く、そこにはパソヤがこれまで10年以上も前から培ってきたノウハウが活かされてり、情報には自信があるという。さらにネズミ捕りや検問が行なわれる場所の傾向や特徴をある程度把握した上で、それにそぐわないものは手作業によって削除してもいる。一応、システム上でも不審な投稿を削除することができるが、そのノウハウは秘密だ。

ただ、それでもイタズラや誤った投稿などが100%削除されるわけではないとも話す。機能としては現在取り締まり中の場所を知らせることに重点を置いており、取り締まりが終わればこれらのポイントを含めて情報は比較的短い期間でサーバーから消滅していく。つまり、仮に誤った情報があったとしても一時的に提供されるだけだ。情報の間違いに遭遇してしたらドライバーは運転を慎重にすればいいだけのこと。むしろ、情報がないままで取り締まられてしまう方がドライバーにとって怖い(?)。

話をまとめると、その情報精度は100%とまでは行かないまでも、過去10年以上のノウハウによって相当に高められている様子。利用者からの情報提供も頻繁に行われているそうで、情報が漏れることはほとんどないという。とはいえ、繰り返しになるが情報は100%ではない。加えて情報がないからといって取り締まり地点だけ速度を落とし、その後は全開で走り去る行為は交通そのものを乱すことにもなる。くれぐれもこのような走りだけは自重して欲しいと思う。

◆「スピード注意情報プラス」には初回のみ1週間の無料期間あり

最後に「スピード注意情報プラス」と「オービスガイド」の違いを挙げておきたい。「オービスガイド」では有料でエリアを絞って情報提供を行えるほか、利用者が情報をアップロードする機能を備えるが、「スピード注意情報プラス」にこの機能は搭載されていない。あくまで提供された情報を利用するだけの機能が搭載されているということになる。

また、「スピード注意情報プラス」を利用するには月額250円が課金されるが、解約はいつでも可能。さらに一つのIDにつき初回のみ1週間の無料期間が用意されている。そのメリットを体験してから課金を受け入れてもよいと思う。もし、不要だと思ったなら利用後1週間以内に忘れずに解約手続きをすること。でないと課金されてしまうので注意したい。

スピード注意情報プラスの機能イメージ。月額250円の課金がある(写真:Yahoo!JAPAN) ルート探索時は目的地までのルート上にアイコンを表示。移動式オービスか検問なのかなども事前に把握できる(写真:Yahoo!カーナビHPより) ルート案内中に対象地に近づくと音声でその存在を知らせる(写真:Yahoo!カーナビHPより) 「オービスガイド」の情報をアップロードする画面。ここで提供された情報が元になる((写真:オービスガイドのHPより) 移動式オービス「可搬式LSM300」(写真提供:パソヤ) Yahoo!カーナビの新機能…「移動式オービス」「検問」取り締まり情報の信頼度