5時間レース総合優勝のTEAM RED ZONE《写真撮影 竹内英士》

鈴鹿サーキットで31日、FIAエレクトリック&ニューエナジー・チャンピオンシップ ソーラーカーレース鈴鹿2021が開催され、最高峰クラスの5時間レースではTEAM RED ZONEが5大会連続の総合優勝を飾った。

1992年から開催され、1994年にはFIA(国際自動車連盟)カップとなり現在まで続いてきたソーラーカーレース鈴鹿だったが、2020年10月、「技術が進化し代替エネルギーのトレンドも変化した現在の社会状況のなかで、ソーラーカーレースがこれまで担ってきた役割を果たした」との理由で、2021年大会をもって終了することが発表された。2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となっており、2年ぶりの開催となったが、29回目を迎える今回が最後のソーラーカーレース鈴鹿となる。

最高峰クラスのレースとなる5時間レースには、FIA規格のオリンピアクラスに11台、国内規格で自由度の高いドリームクラスに7台、ソーラーパネルの出力が制限されている国内規格のチャレンジクラスに6台の、計24台が参戦してきた。

ポールポジションからスタートするのは2019年まで総合4連覇しているTEAM RED ZONE。2番手からは芦屋大学ソーラーカープロジェクトがスタートする。RED ZONEは芦屋大学のOBを中心としたチームで、兄弟チームがフロントローに並んだわけだ。序盤はこの2台で逃げる展開かと思われたがRED ZONEは徐々に芦屋大学を引き離し、独走状態に持ち込みかけた。

ところが8周目、RED ZONEが緊急ピットイン。短時間の修復でトップのままコースに戻ったが、5番手スタートから徐々に追い上げてきた柏会が芦屋大学を抜いて、ついにRED ZONEをも抜いてトップに浮上してきた。これで柏会、RED ZONE、芦屋大学の順となり、その後ろにはピットスタートから追い上げてきたKAITソーラーカープロジェクトが付け、4台によるトップ争いが繰り広げられた。

連続走行は1時間半までと決まっているため、1時間が過ぎた辺りからルーティーンのピットストップが始まった。ここでKAITはドライバー交代に大きく時間がかかり、トップに浮上していたが4位まで転落。走行のペースはいいのだが、その後もピットストップのたびに後退し、優勝争いからは脱落していった。

RED ZONEは柏会に追われる場面もあったが、ペースが落ちることなく順調にトップで周回を重ね、最終的に後続に1周以上の差をつけて優勝。初参戦の2015年から6回連続クラス優勝を果たすとともに、ドリームクラスを下してオリンピアクラスが初めて総合優勝した2016年から5回連続総合優勝を飾った。チェッカードライバーを務めた三瀬剛選手は「最後の鈴鹿なので、いろんな記録に挑戦しました。金曜日にコースレコード更新は達成。レース中もファステストラップを取りました。最多周回数も狙ったけど、ファステストラップのために電力を消費しすぎてて、これは無理でしたが。でも5連覇で有終の美を飾ることができました」とコメントした。

2位は柏会。終了直前まで激しいバトルの中、KAITが芦屋大学を下して3位でチェッカーを受けた。

ソーラーパネルの出力が480w以下のエンジョイIクラス(18歳未満の高校または高等専門学校の在学生が中心のチーム)・エンジョイIIクラス(エンジョイIクラス以外)混走の4時間レースは、3番グリッドのオリンパスRS(関博之/唐澤雅喜/中野博斗)がスタートでトップに立ち逃げ始めたが、すぐにポールポジションスタートのMTHS松工ソーラーカーチーム(黒坂昇吾/森准平/杉谷直紀)が追いつき、2台はランデブー走行をしながら後続を引き離し始めた。1時間が経過するとMTHS松工ソーラーカーチームがトップに浮上。そして3位のSTEP江東(飯田茂/喜多洸介)がこの2台に追いつき、3台でトップ争いを始めた。

しかしMTHS松工ソーラーカーチームは徐々に後続を引き離しトップを快走。最終的に2位に1分以上の差をつけて初優勝を飾った。エンジョイクラスがスタートした1998年から地元三重県勢が優勝したことはなく、最後の鈴鹿ソーラーカーレース、エンジョイクラスは初の地元勢優勝で締めくくられた。


■5時間レース総合トップ3(オリンピアクラストップ3)
1. TEAM RED ZONE
2. 柏会
3. KAITソーラーカープロジェクト

■5時間レース ドリームクラストップ3
1. THE BLUE STARS
2. Team宮工(宮崎工業高校)
3. 愛知工業大学チャレンジプロジェクト

■5時間レース チャレンジクラストップ3
1. Team MAXSPEED
2. Cabreo
3. 堺市立堺高等学校 科学部

■4時間レース総合トップ3
1. MTHS松工ソーラーカーチーム(エンジョイI)
2. オリンパスRS(エンジョイII)
3. STEP江東(エンジョイII)

5時間レース表彰式《写真撮影 竹内英士》 5時間レースで総合優勝したTEAM RED ZONEのドライバー《写真撮影 竹内英士》 5時間レース総合2位の柏会《写真撮影 竹内英士》 5時間レース総合3位のKAITソーラーカープロジェクト(手前)《写真撮影 竹内英士》 5時間レースドリームクラス優勝のTHE BLUE STARS《写真撮影 竹内英士》 5時間レースチャレンジクラス優勝のTeam MAXSPEED《写真撮影 竹内英士》 5時間レーススタートシーン《写真撮影 竹内英士》 4時間レースで総合優勝したMTHS松工ソーラーカーチーム《写真撮影 竹内英士》 4時間レーススタートシーン《写真撮影 竹内英士》 4時間レースで総合優勝したMTHS松工ソーラーカーチーム《写真撮影 竹内英士》 4時間レース総合2位のオリンパスRS《写真撮影 竹内英士》 4時間レース総合3位のSTEP江東《写真撮影 竹内英士》