?動?メーカー業界 他社牽制?ランキング2020 上位10社《図版提供 パテント・リザルト》

特許を申請した際に、特許を拒絶する理由として別の特許が引用される。こうした拒絶理由になった特許件数の多い企業は、「他社牽制力」があるといえる。パテント・リザルトによると2020年、自動車メーカーで他社牽制力の1位はトヨタ自動車だった。

パテント・リザルトは、総務省の日本標準産業分類を参考にした自動車メーカーの企業を対象に、2020年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された特許件数を企業別に集計した、『自動車メーカー 他社牽制力ランキング2020』をまとめ、7月1日に発表した。

言い換えると、技術開発において、競合他社が権利化する上で阻害要因となる、先行技術を多数保有している先進的な企業のランキングだ。パテント・リザルトの集計の結果、2020年に引用された特許が最も多い企業はトヨタ自動車、次いで日産自動車、本田技研工業(ホンダ)と、昨年と同様の結果となった。引用されたトヨタ自動車の特許数は6525で、2位日産自動車2802の2倍以上だ。3位の本田技研工業は日産自動車よりわずかに少ない2594。

●1位:トヨタ自動車

最も引用された特許は「安全性を高めた、車両の自動運転制御」に関する技術。この特許は、エイディシーテクノロジーなどの計13件の審査過程で引用されている。このほかには、「充放電容量の低下を抑制し得るリチウムイオン二次電池」に関する技術が、引用された件数が多い。

トヨタ自動車の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、本田技研工業(339件)で、次いでデンソー(273件)、日立アステモ(158件)となっている。

●2位:日産自動車

最も引用された特許は「道路形状、障害物を検出し、軌道を算出するリスク最小軌跡生成装置」に関する技術で、本田技研工業などの計10件の審査過程において引用された。このほかでは、「装置の異常検出時に運転者に違和感を招くことなく作動を中止できる車両用走行制御装置」に関する技術などが、引用された件数の多い特許だ。

日産自動車の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(263件)で、次いで本田技研工業(158件)、デンソー(112件)。

●3位:本田技研工業

最も引用された特許は「造形サイクルタイムの短縮化と、不活性ガス等の雰囲気ガスの使用量の削減化が図れる三次元造形装置」に関する技術で、IHIの「レーザ溶接装置及びレーザ溶接方法」関連特許など、計6件の審査過程で引用された。

本田技研工業の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は、トヨタ自動車(201件)で、次いでデンソー(98件)、スズキ(72件)。トヨタ自動車と本田技研工業は、お互いに最も影響を受けた・与えた企業だ。両社間の牽制力でいうとトヨタ自動車のほうが大きい。

4位のマツダは「エンジンの排気系部品取付構造」、5位の豊田中央研究所は「衝突対象を推定する車両用衝突判別装置」が、最も引用された特許だった。

なおランキングの集計対象は、日本特許庁に特許出願され、2020年12月までに公開されたすべての特許のうち、2020年1月から12月末までの期間に拒絶理由(拒絶理由通知または拒絶査定)として引用された特許を抽出した。

パテント・リザルトでは、このランキングの詳細データを5万5000円で販売している。