トヨタ自動車は、同社男性社員が上司のパワーハラスメントによって自殺に追い込まれた事案を受け、再発防止に向けた取り組みを進めている。
トヨタは、大切な社員の尊い命が失われた事実を真摯に受け止め、「風通しのよい職場風土づくり」、「パワーハラスメント行為を行わないマネジメント」、「メンタルヘルス不調者に対する適切な対応」等の施策について取り組みを進め、社内から、パワーハラスメント行為の撲滅を目指す。
◆声を出しやすい職場づくりに向けた取り組み
2020年4月に、これまでの相談窓口を「スピークアップ相談窓口」に統合。匿名での通報、職場の同僚や家族など第三者からの相談も受け付けているほか、若手社員に対する毎月のアンケートの実施、職場の身近な相談先として、職場相談員の設置を進めている。こうした施策を通じ、従業員の困り事や、職場の課題を早期に発見・解決していく。
◆パワーハラスメントに対する厳格な姿勢を就業規則に反映
2020年4月に就業規則を改定し、パワーハラスメントの禁止、およびパワーハラスメントを行った際の懲罰規定について、より明確に記載した。
◆異動時における評価情報の引継ぎの強化
2020年10月に、従業員の評価や、ポスト長の職場マネジメントに関するアンケート結果などの個人情報を一元管理するシステムを導入。過去の評価や人事情報を確認することで、今まで以上に本人の適性を踏まえた業務アサインを行い、過去から一貫性のある育成を実施していく。
◆マネジメントに対するパワーハラスメントの意識啓発
2020年4月より、すべての幹部職・基幹職を対象に、パワーハラスメント防止の教育を再度実施している。また、評価基準を見直し、今まで以上に「人間力」のある人材、周囲へ好影響を与え信頼される力を持つ人を評価。加えて、役員、幹部職・基幹職を対象に、360度アンケートを導入した。対象者の強み・弱みに関する周囲の声を集め、本人にフィードバックすることで、自らの行動を振り返り、改善につなげていく。
◆休務者の職場復職プロセスの見直し
2020年5月より、休務者の状況把握、復職可否判断、職場復帰後の職場環境面を含むケアについて、産業医、人事労務スタッフ・職場がこれまで以上に緊密に連携し、本人のコメントや主治医の意見も踏まえ、円滑な職場復帰をサポートする体制構築を進めている。
また、産業医が、休務者のサポートや職場復帰後のフォローを適切に行うため、2020年12月より、精神科専門医が常駐する相談センターを開設。対面またはオンラインによって、メンタル不調者や上司との面談を行い、その結果に基づいて、産業医に対し、専門的立場からのアドバイスを提供している。
トヨタ、パワハラ撲滅へ---再発防止に向けた各種施策を推進
2021年06月07日(月) 16時00分
関連ニュース
- 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング (07月31日 07時30分)
- トヨタ車体、『アルファード』『ヴェルファイア』をトヨタ自動車に生産移管、いなべ工場は商用車専用に (06月28日 06時15分)