関越自動車道の立ち往生の状況(2020年12月18日)(参考画像)《写真提供 国土交通省》

ウェザーニューズとトヨタ自動車は2月22日、気象データと車両データから道路の凍結箇所を把握するための実証実験を47都道府県で開始した。

冬型事故におけるスリップ事故の割合は9割前後にのぼるなど、道路の凍結は車の安全運転に大きく影響。このため道路管理事業者は積雪や凍結が予想される場合、除雪や凍結防止剤の散布を行い、スリップの防止に努めている。しかし、凍結箇所の把握は道路管理者の定点気象観測や巡回、ライブカメラ等による目視が主で、凍結箇所を全線で網羅的にかつリアルタイムで把握することは困難とされてきた。

両社は、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測の精度向上やドライバーの安全性向上を目指す共同研究を実施している。第1弾として2019年10月に道路冠水検知の実証実験、第2弾として同年11月にワイパーデータを用いた実証実験を実施。第3弾となる今回の実証実験では、ブレーキの稼働状況や走行データ等を用いてスリップしたとみられる箇所を検出し、その場所の気温や降雪・降雨などの気象データと合成することで、道路の凍結箇所を推定する。

路面が凍結しているかどうかは、気象データのみでは判断できない一方で、車輪のスリップの要因も複数考えられるため、スリップの検出だけではその場所が凍結しているかどうかは判断できない。車両データと気象データの双方を掛け合わせることによって初めて、車輪のスリップに繋がる道路の凍結箇所の推定が可能になる。2020年1月19日、都内を含む関東で雨や雪が降った事例では、車両データにより合計5026件のスリップが検出されている。

今回の実証実験では、凍結箇所の推定結果を「路面凍結推定マップ」としてウェブサイトにリアルタイムで公開。また、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる天気に関する報告や写真、コメント等を元に推定結果の検証及び精度向上のためのシステム改良を行っていく。

両社は実証実験を通じて、簡易で網羅的に道路の凍結状況を把握できるシステムを構築し、道路の安全管理への貢献とドライバーへの注意喚起などを通じた交通事故の防止、長期の立ち往生の回避など、安全な道路通行に寄与することを目指す。