飛石試験の様子《画像提供 沖電気工業》

OKIエンジニアリング(OEG)は、独自動車メーカー5社(フォルクスワーゲン、ポルシェ、アウディ、ダイムラー、BMW)が制定した12V電源を使用する車載電装品に対する試験規格「LV124」に対応するワンストップ信頼性試験サービスを1月22日より開始した。

LV124規格は22項目の電気試験(パート1)および28項目の環境試験(パート2)から構成されており、OEGは国内の受託試験所として初めて、パート1とパート2合わせて全50項目の試験にワンストップで対応。欧州自動車メーカーに車載電装品を納入するサプライヤー向けにサービスを提供し、年間1億円の売上を目指す。

現在、国内車載電装品サプライヤーの間では、系列の国内自動車メーカーだけでなく、欧州などの海外自動車メーカーとの取引に乗り出す動きが活発化している。OEGは2016年からLV124規格パート1の電気試験サービスを提供してきたが、こうしたニーズの高まりに応え、海外進出を目指す車載電装品サプライヤーを支援するため、今回新たに2種類の試験機(飛石試験機および昇降式熱衝撃試験機)を導入し、LV124規格のパート1、パート2すべての試験に対応できる体制を整えた。

新規導入した飛石試験機と昇降式熱衝撃試験機は、パート2の環境試験に含まれる飛石試験と熱衝撃試験を実施するためのもの。飛石試験は自動車が巻き上げる砂塵や小石による衝撃を模擬した試験で、ボディやフロントガラス、下回りのブレーキホース、樹脂製燃料タンクなどに加え、車載カメラやセンサーの衝撃ストレスに対する耐性を評価する。熱衝撃試験は急激な温度変化を模擬した試験で、電装品の半田接合部の耐久性を評価。今回導入した昇降式熱衝撃試験機はテストエリアが高温槽と低温槽を上下に移動(昇降)するのが特徴で、LV124規格が要求する「高温と低温の移動時間が10秒以内」という条件に対応する。

なおOEGは、SEM(走査型電子顕微鏡)やEDX(エネルギー分散型X線分析装置)などの観察装置や分析装置も保有。LV124規格に対応した試験の実施に加え、飛石試験によって生じた損傷部分の加速劣化後の観察や、熱衝撃試験後の半田接合部の亀裂観察など、顧客の要望に応じた信頼性試験を提供できる。