EVバス車両からのデータの収集と電費予測の検証《写真提供 デンソー》

みちのりホールディングス(みちのりHD)、会津バス、デンソー、ABBベーレー、ダイヘン、デロイトトーマツの6社は、産業技術総合研究所が2020年度に実施する「商用車を活用した物流MaaSの実現に向けた研究開発・実証事業」を受注、実証事業を開始した。

実証事業では会津バスが2018年12月から運行しているBYD製のEVバス3台を活用し、電力消費量や運行距離などの車両データに加え、車載カメラで計測する乗車人数、バスロケーションシステムからの運航遅延情報、天候や積雪状況などの外部環境データを収集する。データはデンソーがAI技術を活用して分析し、時間帯ごとの利用者数や天気などによる変動を織り込んだ電費予測のアルゴリズムを検証。EVバスの走行可能距離の管理精度を高め、将来的なEVバス導入時の基礎データに役立てる。

またABBベーレーは、同社ソリューション「OPTIMAX」を用いて、運行計画、電力価格、系統容量等のデータを取り込み最適化した充電スケジュールを生成する。実証では、ダイヘンが開発した自律分散型制御技術「SynergyLink」を活用し、ダイヘン十三事業所内にて、スケジュールに沿ってEVバスに充電する検証を行う。これらを通じて、EVバスの大規模導入時においても適切なタイミングでの充電や充電量のコントロール、また運行管理を実現する技術の確立を目指すとともに、みちのりHDのグループ各社の営業所単位でのEVバス導入の可能性を検討する。

さらに将来的には、EVバスのエネルギーマネジメントシステムを構築し、エネルギー使用量のモニタリング、それに応じた電気調達の調整、運行計画立案などを一体的に実施し、EVバスを合理的な価格で導入・運用することを目指していく。

エネルギー使用量のモニタリング、それに応じた電気調達の調整、運行計画立案などを一体的に実施《写真提供 デンソー》