2020年DTM王者 #33 レネ・ラスト(アウディ)。《写真提供 Audi》

欧州トップツーリングカーレースシリーズのひとつ「DTM」が現地8日に今季を終了、アウディのレネ・ラストが2年連続3度目のドライバーズチャンピオンに輝いた。ラストはここ4年で3度目の戴冠。シリーズは来季2021年、GT3マシン使用へと移行する予定になっている。

ドイツや近隣諸国を舞台に、やはりコロナ禍とも戦いながら展開されてきた2020年の「DTM」(ドイツ・ツーリングカー選手権)、その最終戦(第9大会)がドイツ・ホッケンハイムにて無観客で開催された。現地11月8日、最終戦のレース2が実施され、「アウディRS 5 DTM」を駆るレネ・ラスト(Rene Rast)が優勝、同じくアウディのニコ・ミュラーとのドライバーズチャンピオン争いにも勝利した。ラストは2017、19年の王者で、近4年で3度目の頂点、DTMの歴史に一時代を築いている(18年もランキング2位)。

2020年のチーム部門タイトルはミュラー(ドライバー部門ランキング2位)とロビン・フラインス(同3位)を擁して戦ったAudi Sport Team Abt Sportslineが獲得した。ラストが所属するAudi Sport Team Rosbergはチーム部門2位。

アウディ対BMWの2メーカー対決だった今季、マニュファクチャラー部門王座争いは最終得点1253対500でアウディが勝っており、アウディがBMWを圧倒したといえる2020年だった。アウディ勢は全18レース中の16レースで優勝、ドライバー部門では1〜4位を、チーム部門では1〜3位をそれぞれ占めている。

近年、入れかわり等々の諸事情はありつつも3メーカー(3ブランド)競合のかたちで推移してきていたDTMだが、2020年シーズンはアウディとBMWの2メーカー参戦という状況になった。しかもコロナ禍が襲い、アウディは4月に今季限りでの戦線離脱を表明と、シリーズとしての今後に厳しい雰囲気が出ていたのは既報の通りである。

その後、コロナ禍が長期化するなかでDTMは調整努力を続け、2021年シーズンは世界的に広範に普及しているGT3マシンを使用したシリーズへと変貌することに。アウディも「ファクトリーレベルでのDTM参戦は20年が最後だが、GT3を使用したシリーズになる21年のDTMはアウディにとって『アウディR8 LMS』でのカスタマーレーシングプログラムの対象になる」との旨を最終戦のプレスリリースで示した。DTM側は多くのブランドのマシンが参戦することを望んでいる。

DTMは今季まで、車両規定に関して日本のSUPER GT/GT500クラスと協調路線を歩んできていたわけだが、その「クラス1」規定でのDTMは2020年が最後になった。コロナ禍の影響も受けての方針転換、シリーズとしての最善手を探った末の決断だろう。来季以降、DTMの新たなかたちでの発展に期待したい。

現段階でDTMの2021年シーズンは5月28〜30日にロシアのサンクトペテルブルクで開幕する予定となっている(全9大会を予定)。

ここ4年で3度の王座獲得を成したレネ・ラスト。《写真提供 Audi》 2020年DTM王者 #33 レネ・ラスト(アウディ)。《写真提供 Audi》 2020年DTM王者 #33 レネ・ラスト(アウディ)。《写真提供 Audi》 健闘を讃え合うN.ミュラー(左/シリーズ2位)とR.ラスト(右/チャンピオン)。《写真提供 Audi》 近代DTMの帝王、レネ・ラスト。《写真提供 Audi》 DTMの2020年シーズンはアウディがBMWを圧倒したといっていい展開だった。《写真提供 Audi》 DTMの2020年シーズンはアウディがBMWを圧倒したといっていい展開だった。《写真提供 Audi》