KTMは10月12日、『X-BOW GTX』をデジタルワールドプレミアした。オーストリアに本拠を置くKTM が、2008年から販売している『X-BOW』 (クロスボウ)のノウハウをベースに、フルカーボン製ボディを採用したレーシングカーだ。
KTMは、パートナーのライターエンジニアリングと協力し、高度な安全コンセプトを備えたレーシングカーを開発した。プロユースはもちろん、サーキット専用車として楽しみたいユーザーも視野に入れている。
◆ミッドシップにアウディ製の2.5リットル直5ターボ
高いパフォーマンスを実現するために、重量わずか1048kgのKTM X-BOW GTXのミッドシップには、アウディ製の直噴2.5リットル直列5気筒ガソリンターボ「TFSI」エンジンが搭載される。最大出力は530hpで、パワーウェイトレシオは1.98を実現した。最大トルクは66.3kgmを獲得する。
アウディ製の直噴2.5リットル直列5気筒ガソリンターボTFSIエンジンには、空冷式インタークーラーが備わっており、噴射バルブ、ウェイストゲート、吸気システム、排気システム、ソフトウェアはそのまま使用できる。トランスミッションは、ホリンジャー製の6速シーケンシャルを組み合わせた。
KTM X-BOW GTXには、「Krontec」製のエアジャッキシステムを標準装備した。サーキットでのタイヤ交換をスピードアップし、軽度のメンテナンスサービスや修理作業を容易にするという。
◆デジタルミラーを採用
室内には、FIA(国際自動車連盟)の基準に従って新設計された「GTロールケージ」を装着する。シートは、レカロと共同開発されたカーボンケブラー製のコンペティションシートだ。このシートが、GTロールケージとカーボン製モノコックとの組み合わせにより、非常に高い安全基準を確立するという。Schroth製の6ポイントレーシングハーネスも標準装備されている
ステアリングホイールは、スエード巻きのレーシング仕様で、見た目、感触、人間工学を追求した。ディスプレイには、ドライバーに重要な情報を表示する。すべての重要な制御スイッチは、カーボン製の中央部分に配置されている。ステアリングホイールは、調整式だ。ペダルボックスは、その位置を最大300mm調整できる。
KTM X-BOW GTXには、従来のサイドミラーの代わりに、デジタルミラーを採用した。車両の左右にカメラを取り付け、その映像をコックピットの2つのスクリーンに映し出す。キャビンはキャノピー方式で開く。
◆調整式のトラクションコントロールとレーシングABS
トラクションコントロールとレーシングABSは、手動で設定できる。トラクションコントロールは、8段階に調整可能だ。コンチネンタルの「タイプ3」レーシングABSは、サーキットのコースに合わせて10段階に調整でき、コーナーリング時のアンダーステアまたはオーバーステアの特性は、ドライバーの好みに応じて調整することが可能だ。トラクションコントロールとレーシングABSのセレクターレバーは、ステアリングホイールにあり、直感的に操作できるようにした。
ザックス製のレーシングダンパーは、リバウンドとコンプレッション、フロントアクスルとリアアクスルの車高を調整できる。
KTM X-BOW GTXのブレーキキャリパーは、長距離レースでの使用を想定して設計されている。フロントには、378mm径のディスクに6ピストンの耐久ブレーキシステム、リアには355mm径のディスクに4ピストンのブレーキシステムを装着した。
リアのフレームは高張力鋼管で作られている。車両の後部の衝撃吸収構造は追突の際、できるだけ損傷を受けないように配慮している。
KTM X-BOW に1トンの軽量レーサー、「GTX」…530馬力ターボ搭載
2020年10月16日(金) 07時15分
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