NTN トランスミッション用超低フリクションシール付玉軸受《写真提供 NTN》

NTNは9月11日、トランスミッション向けに開発した「超低フリクションシール付玉軸受」を自動車メーカ数社より量産受注したと発表した。

本開発品は、新設計した接触タイプシールの採用により、低トルクと長寿命の両立を実現。回転トルクをシール無しタイプの軸受と同等レベルまで低減するとともに、シールにより軸受内部への有害な異物の浸入を抑制し、軸受寿命を確保する。

開発シールは、シールリップ摺動部(軸受の内輪と直接接触するシール部)に半円弧状の微小突起を等間隔に配置。回転時にくさび膜効果によってシールをわずかに浮かせ、回転トルクを接触タイプシール付の従来品比で80%低減させることに成功した。また、異物の浸入を防ぐことで長寿命化も実現しているため、軸受自体の強度を高めて長寿命化を図った特殊熱処理品からの置き換えも可能となる。

2017年の開発発表後、専門機関からも高い評価を得ながら、顧客への提案を進めていたところ、低トルクと長寿命の両立に加え、従来品からの置き換えで高機能化を図ることができる点などが評価され、量産受注につながった。開発品は電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)など、これまで以上に高速回転が要求される車両でもシールの発熱や異常摩耗等の損傷の心配なく使用できる。