ホンダN-BOX《写真 ホンダ》

日本自動車工業会は、2019年度に実施した乗用車市場動向調査結果をまとめた。

調査は、単身世帯を含む全国の一般世帯における乗用車の保有、今後の購入意向などを隔年で調査し、需要の質的変化の見通しに役立てようとするもの。今年度は保有状況・使用実態・今後の購入意向について時系列の動きに主眼を置いた。また、トピックとして次世代自動車、先進安全技術、次世代技術、高齢層および若年層に注目した。

時系列調査の結果では、乗用車世帯保有率は79.8%(前回調査比3.0ポイント増)で、地方圏、高年収層、家族期で高い傾向は変わらなかった。軽乗用車の保有および複数保有の増加傾向と軽移行、ハイブリッド等の次世代エンジンの増加が継続。非保有理由は維持費負担が上位で増加傾向、今後の購入意向は低水準にとどまっている。

乗用車ユーザーの特性と使用状況では、女性比率の増加が継続し、主運転者のほぼ半数を占める。「買物・用足し」中心の使用は変わらず、維持費は5割弱が負担を感じている。

購入状況では、同タイプ・クラスからの買替が中心で、保有期間はさらに長期化している。今後の保有・購入動向によると減車意向・保有長期化意向が継続。同クラス意向が高い傾向が継続しており、次世代エンジン意向は約4割となっている。

トピックス調査結果によると次世代自動車については、各次世代自動車の認知は大きく変わらなかったものの、各次世代自動車とも購入意向が前回より上昇。ただし、価格が高いことが購入のネックとなっている。先進安全技術車については、高齢者事故報道の影響もあり、運転手の運転ミスをカバーする安全技術への要望が高い。次世代技術については、自動運転車関心層が5割弱。「レベル3(条件付運転自動化)以上」を望む人が4割強となっている。また、超小型モビリティの名前を知っている人は約5割、特徴まで理解している人は約1割、購入意向のある人も約1割程度。利用意向の高いコネクティッドサービス・機能は「ナビ地図データの自動更新」「盗難防止/盗難時通報サービス」「ビッグデータ交通情報サービス」となっている。

保有形態に対する意識では、インフラ整備が進んでいる首都圏中心部を中心に「カーシェア」の利用意向が上昇している。高齢層については、まだまだ運転意欲はあり、身体的衰えを「先進安全技術」でカバーし、約8割は次も車を購入する予定。一方、若年層も車の使用価値は認識しており、「カーシェア利用意向」「自動運転車への関心」が全体に比べて高い。

自動車に支払える費用については、車関連出費は負担感が強く、今後減らしたい出費の上位項目にあがる。年間維持費が30万円以内の人は、10万円程度は削減したい意向。支払方法については残価設定ローンの利用が増加傾向。これにより買替サイクルを短期間化、先進安全技術は買替時期の早期化を後押ししている。

トヨタ・プリウス《写真 トヨタ自動車》