優勝したマニュエラ・シャー選手《撮影 池原照雄》

39回目を迎えた大分国際車いすマラソンが11月17日、同市内の42.195kmのコースで開かれ、女子はホンダグループのサポートアスリートであるスイスのマニュエラ・シャー選手(34)が1時間35分42秒の世界記録で、4年ぶり4回目の優勝を飾った。

2018年大会まで女子で2連覇中だったホンダグループサポートの喜納翼選手(29)も日本記録を更新する健闘で、2位になった。さらに同サポートの土田和歌子選手(45)も4位に入った。大会には男子71人、女子9人の合計80人が出場、男子はスイスのマルセル・フグ選手が1時間22分51秒の記録で8度目の優勝に輝いた。

競技用車いす(レーサー)を事業化しているホンダは、本田技術研究所や傘下車体メーカーの八千代工業、部品メーカーのホンダ太陽などグループで車いす陸上競技のアスリート計12人をサポートしている。今大会にはうち10人が出場し、男子では南アフリカのエレンスト・ヴァンダイク選手(46)が5位、山本浩之選手(53)が6位と活躍した。

女子の部で優勝したシャー選手は自身がもっていた世界記録を1分11秒縮めて1年ぶりに更新、「この美しいマラソンコースを走ることができて幸せだ。選手の皆さんが一生懸命走ったので、私の記録にもつながった」と喜びを語った。

また、日本人で上位3位に入った男子の山本選手や女子の喜納、土田両選手は、来春にロンドンで開かれる車いすマラソンのワールドカップへの出場権を獲得、20年の東京パラリンピックへの出場をかけてレースに挑むことになった。山本選手は「来年の選考につながったのでほっとしている。東京に選ばれるようしっかり頑張りたい」と話した。

ホンダは今年4月にレーサーの最新モデルである「翔(かける)」のフラッグシップモデルを発売しているが、今大会ではシャー選手らが搭乗して好記録にも貢献する結果となった。開発を担当する本田技術研究所・先進技術研究所の高堂純治研究開発主事は「シャー選手には新しいレーサーでいきなり世界記録を出してもらい、非常にうれしい。喜納選手も世界記録に迫るタイムであり、これからも2人で競いながら頑張ってほしい」とエールを贈った。

また、応援に駆けつけたホンダの倉石誠司副社長は、「当社の2030年ビジョンでは、すべての人に生活の可能性が拡がる喜びを提供するということを掲げている。この競技結果は健常者だけでなく多くの方々に喜びをお届けできるという意味でもうれしい」と語った。

〈協力:ホンダ(競技取材会)〉

[おわび]当初、シャー選手が初優勝としていましたが、4年ぶり4回目の優勝でした。訂正して再出力しました。

女子2位の喜納翼選手《撮影 池原照雄》 女子トップでゴールするシャー選手(右から3人目)《撮影 池原照雄》 本田技術研究所 高堂純治研究開発主事《撮影 池原照雄》 ホンダ 倉石誠司副社長《撮影 池原照雄》 第39回大分国際車いすマラソン (大分市の弁天橋)《撮影 池原照雄》