出発式《撮影 高木啓》

西東京バス(京王グループ)とヤマト運輸は、11月1日から30日まで、東京都あきる野市と檜原村を結ぶ路線バスの区間で宅急便を輸送する「客貨混載」輸送の実証運行を実施する。

西東京バスが運行する、武蔵五日市駅バス停〜数馬バス停間のローカル線は、あきる野市と檜原村を結ぶ唯一の公共交通機関として地域住民にとって重要な交通手段だが、人口減などにより乗車人数が減り、路線を維持していくことが難しくなっている。

一方、ヤマト運輸は、東京都あきる野市五日市と檜原村の住民に宅急便を届ける際、あきる野五日市センターと檜原村を、片道約40分かけて1日3回往復するため、セールスドライバー(SD)にとって大きな負担になっており、サービス品質を維持しながら集配の効率化を図ることが課題となっている。

今回、路線バスの車内スペースを活用して宅急便を輸送する「客貨混載」の実証運行を、西東京バス西小中野(にしこなかの)バス停〜数馬(かずま)バス停間で実施する。あきる野五日市センター最寄りの西小中野バス停で宅急便を搭載、檜原村内のバス停でSDが受け取る。SDがセンターまで戻る回数が減るわけだ。混載は、武蔵五日市13時30分発、西小中野13時38分発、数馬14時32分着の1日1便。荷物が多い場合や大きい場合は通常通りの配送となる。

これにより、西東京バスは宅急便の輸送による新たな収入源を確保し、安定的な運行により生活基盤を維持する。また、ヤマト運輸は、SDの運転時間を削減。顧客との接点を増やした柔軟な対応など、サービスの向上を図るだけでなく、CO2排出量の削減につなげる。

出発式で挨拶に立った檜原村の坂本義次村長は「買い物は、昔は地元の店で買っていた。それが遠くの大規模小売店へ行くようになり、さらにテレビ通販やネットで買うようになった。地域配送が重要になったが、少量多品種の購入が増えた。環境を考慮すると、車を減らして多くの品物を運ぶことが必要だ。檜原村は環境の素晴らしい村なので、環境で社会をリードしたい」と語った。

今後は実証運行の課題を検証し、2020年の本格運行開始を目指し、ローカル線の路線網維持と物流の効率化により地域住民の生活サービスの向上を図る。

出発式にて、左から、西東京バスキャラクター「にしちゅん」、西東京バスの齋藤運転手、井上社長、檜原村の坂本村長、ヤマト運輸の中尾主管支店長、半田SD、ヤマトグループキャラクター「クロネコ」《画像:ヤマト運輸》 出発式《撮影 高木啓》 宅急便をバスボックスに搭載する様子《画像:ヤマト運輸》 SDが荷物を取り出す。《撮影 高木啓》 取り組み概要図《画像:ヤマト運輸》 坂本村長から花束をもらった斎藤運転手と半田SD《画像:ヤマト運輸》