KTC(東京モーターショー2019)《撮影 Hideyuki Gomibuchi》

スパナやトルクレンチといったハンドツールを展開するKTC(京都機械工具)は、2020年8月2日に創業70周年を迎える。東京モーターショー2019では、同社がそこに向かってどのような製品を世に送り出してきているかを振り返る。

ブースではKTCの歴史を3つのDNAに見立て、

「構造機構の進化」設計思想や作り方へのこだわり
「材質の進化」鋼材の選び方、加工技術へのこだわり
「統合の進化」工具×デジタル、技術の統合

として壁面で表現している。創業以来、日本の自動車産業の歴史とともに成長してきたKTC。展示紹介されているハンドツール類は、派手さはないものの随所に職人気質がうかがえる。

メーカー担当者の話で興味深かったのは、「工具の壊れ方のコントロールもしている」という点だ。

工具類は使用中に想定外の力が加わったり、経年劣化などで壊れることがあるが、「そういうことが起こった場合でも安全に使っていただけるように、お客様が安全に使える壊れ方というところまで設計しています」と教えてくれた。

たとえば、めがねレンチの使用中に力をかけすぎて口径が壊れてしまうと、滑って周囲のモノに手が当たってケガをする恐れなどがある。そういった事態を回避できるように、KTC製品は口径の一部が欠けるように(弱いところを設計して)作られている。そうすることで、もしもの時でも滑らないそうだ。

KTCは熱処理技術も「工具に魂を入れる工程」として抜かりはない。魂は“強さ”を意味する。KTCの強さの定義は、硬さと靭性(ねばり強さ)だ。世界最高水準の独自の熱処理技術、また「焼き戻し」という工程を入れることで工具に必要な強さを確保している。

構造機構、材質へのこだわりは、技術の進化にもつながる。KTCは工具や測定具の測定データをデバイスに送信できるシステム『TRASAS(トレサス)』も開発。これによりボルト締結のトルク管理も、かんに頼るのではなくタブレットなどを使った視覚での確認も容易に行えるようにした。

さらにトレサスと連携する整備記録アプリ『e-整備』も用意することで、整備現場での記録も自動化。ナットの締め忘れ等を解消し、快適な整備環境を提供する。


自動車関連の技術はどんどん進化している。クルマに比べたら工具の進化は地味なものではあるが、その進化によって開発者や一般ユーザーはより便利で安全な作業が可能になる。

「安心の見える化、最終的にはお客様の安全につながるものを開発して、世界に出していきたい。それがKTCの思いです。これからもアクションを続けていきます」(メーカー担当者)

これからもKTCは自動車産業とともに進化を続けていくに違いない。

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