カリム・ハビブ氏《写真 キアモータース》

韓国の起亜自動車は9月6日、カリム・ハビブをデザインセンターのヘッドに迎える人事を発表した。ハビブは先月までインフィニティのデザインディレクターだったデザイナーだ。

レバノン生まれでカナダ国籍を持つハビブはスイスのアートセンター・ヨーロッパ校でカーデザインを学び、1998年にBMWでカーデザイナーとしてのキャリアをスタートさせた。09年にメルセデスに移籍したが、01年にBMWに戻ってBMWブランドのエクステリア責任者に就任。2012年にはBMWブランドのデザイン全体を統括する立場にまで登り詰めたが、17年3月にインフィニティに電撃移籍していた。

99年から日産のデザインを率いた中村史朗の引退に伴い、それまでインフィニティのデザインを統括していたアルフォンソ・アルバイサが日産デザインのトップに昇格。その後任に、ハビブが招聘されたのだ。ハビブの退職に伴い、日産生え抜きの中村泰介がインフィニティのデザインディレクターに就任している。

起亜を含む現代自動車グループでは、長くデザインのトップを務めたVW/アウディ出身のペーター・シュライアーが昨年10月に引退。その後任にはやはりVWグループで経験を積み、2015年から現代/ジェネシスのデザインを率いていたルク・ドンカーヴォルケが昇格した。ハビブは前任のユン・ソンホに代わって10月から起亜のデザインセンターを率い、ドンカーヴォルケにレポートする。

ちなみに起亜は2017年9月、BMWで2代目『X5』や初代『X6』をデザインし、BMW Mブランドのデザインディレクターも務めたピエール・ルクレールを、“ヘッド・オブ・スタイリング”という新設のポジションで迎え入れた。ユン・ソンホの後任を見据えた人事だったはずだが、ルクレールは1年後の18年9月にシトロエンに移籍してデザインディレクターに就任。結果的に起亜は、BMWでルクレール以上に実績を残したハビブをデザイン責任者に迎えることができたわけだ。