GT500クラスのポールポジションを獲得した#23 GT-R。《撮影 益田和久》

3日、SUPER GT第5戦の予選が富士スピードウェイであり、GT500クラスではニスモGT-Rのロニー・クインタレッリ&松田次生が今季3度目のポールポジションをゲットした。日産が1-2。GT300クラスではマザーシャシー勢のマークX、脇阪薫一&吉田広樹がポールを獲得している。

タイで行なわれた前戦を挟み、国内開催は5月末以来久々となるSUPER GT。今回の富士戦は今季最長の決勝500マイル戦である。約800kmのレース距離は通常の300km戦の2倍以上の長さ、同じ富士での第2戦=500km戦と比べても“通常1レース分”長い。猛暑の予報のなか、過酷な戦いとなることは必定だ。長距離戦の際には第3ドライバーの起用が認められるが、GT300クラスにはこのレースに3人体制で選手登録してきた陣営も少なくない。

シリーズは第5戦を迎え、カレンダー上の後半戦に突入。獲得ドライバーズポイント連動のウエイトハンデ(第6戦までは総得点×2kg)も、シリーズランキング上位陣はかなりのところまで来ている。GT500クラスに関してのみ、50kgを超えた場合にウエイトの一部を段階的に燃料流量リストリクターによる調整へと振りかえる措置があるが、ドライバーズポイント1〜3位がこのゾーンに入っている(1〜2位は“燃リス調整”2段階目、3位は1段階目)。

予選日はやはり暑くなった。クラス別2段階ノックアウト方式の予選が始まった午後2時50分の時点で気温31度、路温40度(路面ドライ)。ただ、もちろん暑いことに間違いはないが、戦前に多くの人が予想したほどではない、ともいえそうな状況か。

GT500クラスでは#23 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/タイヤはミシュラン=MI)がQ1(松田)、Q2(クインタレッリ)と両セッション連続トップで第2戦以来今季3回目のポール獲得を果たした。富士では昨夏のこのレースから3大会連続ポールである。予選2位にも同じミシュラン装着のGT-R、#3 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平&F.マコヴィッキィ/MI)が続き、現在GT500では昨季から決勝レース10連敗中の日産勢が反撃の狼煙を上げた。

日産艦隊の旗艦ともいえる#23 GT-Rは、今季開幕から2戦連続で“ポール・トゥ・2位”としたが、その代償としてハンデが厳しくなり、第3〜4戦は連続してドライバーズポイント無得点に。松田は「今のGT500はクルマの差が少なく、すごいドライバーがそろっているので」と、ハンデ的に厳しい時は成績も厳しくなりがちな傾向を分析する。「今回は他のみんなもハンデが厳しくなってきて、こういう結果になったと思えるところもありますね」(#23 GT-Rは現在ドライバーズランク4位)。

その松田、先週はGT3マシンでベルギーのスパ・フランコルシャン24時間レースに出場しており、「マシンの“乗り換え”がちょっと大変でしたね」とも語る。限られた時間のなかでしっかりアジャストしてくる技量は流石だ。

僚友のクインタレッリも「シーズン3回目のポールはたぶん自己記録だし、ここ2戦は速さを発揮できなかったこともあるので、すごく嬉しい」と“復活ポール”を喜ぶ。Q2での最速タイム1分28秒519のアタックは「ミスなく、いいラップだった」とも。

そして両者は明日の長丁場の決勝に向けて、もちろん勝利を狙いつつも、「少なくとも(上位で)大きいポイントを獲りたい」と4年ぶりのタイトル奪取を意識した抱負も語っている。今回は長距離戦なのでポイント割り増しがあるところを見越しての戦い方、これは間違いなく重要になる。

ただ、「今季まず1勝という思いも僕たちのなかでは強い」と松田。当然、「チャンスがあれば(勝利を狙っていく)」とクインタレッリ。前述したように日産勢はこのところ決勝で10連敗しているだけに、やはりここで勝利が欲しいのも本音ではあるだろう。予選2位の#3 GT-Rともども、このチャンスを生かせるかどうか、ここも注目点になる。

予選3〜5位は目下3連勝中のレクサス勢。#19 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資&坪井翔/ヨコハマ=YH)が予選3位、第2戦優勝でランキング3位の#38 ZENT CERUMO LC500(立川祐路&石浦宏明/ブリヂストン=BS)が予選4位、そして第3戦優勝の#36 au TOM'S LC500(中嶋一貴&関口雄飛/BS)が予選5位につけた。予選6位は#24 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠&J. マーデンボロー/YH)。

ホンダ勢最上位は予選7位の#64 Modulo Epson NSX-GT(N. カーティケヤン&牧野任祐/DL=ダンロップ)。予選8位にもホンダの#17 KEIHIN NSX-GT(塚越広大&B. バゲット/BS)がつけているが、こちらはQ2の終盤にタイムを出したあとでクラッシュし、赤旗終了の原因となったためのタイム抹消でこの位置になった(出したタイム的には推定3位だった)。

ドライバーズポイントランク1位、前戦優勝の#6 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也&山下健太/BS)は予選11位、1点差でランク2位の#37 KeePer TOM'S LC500(平川亮&N. キャシディ/BS)は予選14位。富士のコースで“燃リス調整”の2段階目はやはり厳しいか。

GT300クラスでは、埼玉トヨペットが母体のチームが走らせるマザーシャシー(MC)使用車、#52 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一&吉田広樹/BS)がポールポジション。3戦連続ポールを狙った#25 HOPPY 86 MC(松井孝允&佐藤公哉&土屋武士/YH)が予選2位となった。

MC勢が最前列に並んだ後方、予選3〜6位は以下の通り。

3位 #360 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行&田中篤&柴田優作/YH)
4位 #61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人&山内英輝/DL)
5位 #10 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹&石川京侍/YH)
6位 #56 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(平峰一貴&S. フェネストラズ/YH)

現在ドライバーズポイントランク首位の#55 ARTA NSX GT3(高木真一&福住仁嶺/BS)は予選11位、0.5点差で追う#96 K-tunes RC F GT3(新田守男&阪口晴南/BS)は予選25位。

いかに順調にレース運びできるかどうか、これが決勝の勝敗のカギを握るのは当然のことだが、夏の長距離戦ではいつも以上にそれが難しくなる。逆に言えば、順調にレース運びできた陣営はかなりの確率で上位フィニッシュできる、そんな展開になるともいえるかもしれない。決勝500マイル戦(177周)は、明日4日の午後1時30分開始予定だ。

#23 ニスモGT-Rのクインタレッリ(手前左)と松田(同右)は今季3回目のポール。《撮影 益田和久》 GT300クラスのポールポジションを獲得した#52 マークX MC。《撮影 益田和久》 ポール獲得を喜ぶ#52 マークXの脇阪薫一(しげかず/左)と吉田広樹(右)。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選2位の#3 GT-R。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選3位の#19 LC500。《撮影 益田和久》 GT500クラス予選4位の#38 LC500。《撮影 益田和久》 GT500クラスのホンダ勢最上位、予選7位の#64 NSX。《撮影 益田和久》 GT500クラスのポイントリーダー、#6 LC500は予選11位。《撮影 益田和久》 GT500クラスのポイントランク2番手、#37 LC500は予選14位。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選2位の#25 HOPPY 86 MC。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選3位の#360 GT-R。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選4位の#61 BRZ。《撮影 益田和久》 GT300クラス予選5位の#10 GT-R。《撮影 益田和久》 GT300クラスのポイントリーダー、#55 NSXは予選11位。《撮影 益田和久》 GT300クラスのポイントランク2番手、#96 RC Fは予選25位。《撮影 益田和久》