人とくるまのテクノロジー展2019名古屋に出展したNOKブース

オイルシールメーカーのNOKは、「人とくるまのテクノロジー展2019名古屋」に出展し、「未来のモビリティーを支えるNOK製品」をコンセプトに企画・展示を行った。

NOKが主力としているオイルシールとは、油を注入した機械の摩擦部分から油が隙間から漏れないようにするパーツのこと。大半が機械の中にセットされているため、いわば「ユーザーには見えない陰の立て役者」的な存在とも言える。NOKはそんなオイルシールの分野で「国内シェアNo. 1」の実績を持つ。そのNOKがメインに紹介していたのが低フリクション技術を用いた「Le-μ’s(レミューズ)」という新ブランドだ。

このレミューズはシール性能を保持しながら低フリクションを実現する高機能ブランドで、低フリクション技術により駆動力損失を低減し、低燃費・低電費化に貢献することを目的に開発された。オイルシールはリップと呼ばれる部分がシールするパーツ側に接触するが、現代のエンジンでは低フリクション化が欠かせず、そのためにはここで発生する摩擦をいかに低減させるかが重要となっているという。

そこでレミューズではリップ部の緊迫力を適正化する設計を行い、これにより45%ほどのトルク低減を実現。さらに摩擦部表面を滑らかにすることで摩擦係数を下げることに成功したという。また、耐摩耗性に優れた低摩擦コーティングを摺動部に塗布する技術も披露され、これを塗布した場合は従来品と比べて30%ほどのトルク低減を実現。新旧製品の違いを指で試すサンプル品も展示され、指でこすってみるとその滑らかさに明らかな違いを感じることができた。

この他、粘土を熱伝導部材として使うことで作業性を高められる「Tran-Qクレイ」を出展した。これまでモーターのコイル部などの複雑な凹凸部には液体やゲルを流し込むことで対応していたが、手間がかかる割には隅々まで行き届かないこともある上に、熱によって流れ出てしまうこともあった。そこでこの代わりとなれる粘土部材を開発。凹凸部に押しつけるだけで最適な形状に成形できることが可能となった。まだ試作段階とのことだが、2019年中には量産化を目指したいとのことだった。

オイルシールのリップ断面を世代別に展示し、その違いを披露した オイルシールの断面を拡大した模型。レミューズではリップ部の緊迫力を下げるために肉厚を薄くしている(右がレミューズ) レビューズの断面 摩擦力を低くするために低トルク化の技術がレミューズ。側面の色が変わっている部分に凹みがあり、そこにオイルが溜まることで低取るかを実現している 指で触れてコーティング効果を体感できるサンプル展示 指で押せば容易に形状が変わる粘土を熱伝導部材として使うのが「Tran-Qクレイ」 モーターへ「Tran-Qクレイ」を実装した例 モーターのコイル部分のアップ 「Tran-Qクレイ」の解説パネル