ボルボ V90CC《撮影 青山尚暉》

元号が変わり、新しい時代になりました。同時に2020年に向けて、自動車の世界も自動ブレーキの義務化、自動運転技術の進化など、大きく変わろうとしています。

そんな今、消費税10%の施行を前に新しいドッグフレンドリーカーの購入を考えている愛犬家も多いのではないでしょうか。

しかし、一口にドッグフレンドリーカーと言っても、ステーションワゴン、ミニバン、SUV、HV、PHEVと、クルマのカタチや動力源はさまざま。何台も所有できればいいのですが、現実的に1台に集約しなければならない人が大半だと思います。

でもその悩みを、自称自動車評論犬!? 旅するラブラドールレトリーバーのマリアが、長年の試乗経験から、ズバリ解決してくれそうです。



愛犬に理想的な電動化車両

まず、後席に誰かが乗車していても、愛犬を乗せやすいのがステーションワゴン、SUV、ミニバンです。それらのクルマなら、ステーションワゴン、SUVのラゲッジ、ミニバンの3列目席を格納した拡大ラゲッジスペースに愛犬を乗せることができます(車種、天井高によっては大型クレートの積載も可能)。

車内でどこかにつかまれず、聴覚に優れた犬にとって、走行性能がスムーズで、車内が静かであることは、大きなドッグフレンドリーポイントになります。であれば、動力源は加速がスムーズで静かに走り、モーター走行も可能なHV、PHEV、EVが理想的。

ただし、EVはドッグフレンドリーカーとしての選択肢がまだまだ数少ないのが現実です。マリアがお気に入りのドッグフレンドリーなEVとして、ジャガー『I-PACE』がありますが、価格は959万円からと高価です。



悩めるのは、立体駐車場にも入りやすいステーションワゴン、悪路走破性に優れ雪道にも強いSUV、人、愛犬、荷物のフォーメーションが自由自在になるミニバンの中から、どれか1台を選択しなければならないことなのですが、実は、欲張りな愛犬家を満足させられる、ふたつの車種を掛け合わせたようなクルマが存在するのです。

ステーションワゴン × SUV



ステーションワゴンは犬を乗せやすい独立したラゲッジスペースを持つと同時に、本格SUVにくらべ全高が低く、犬も乗りやすく、立体駐車場に入りやすいメリットがあります。そのステーションワゴンにSUVの機能性を加えた最新の1台が、ボルボ『V60 クロスカントリー』。

言って見れば、最高にドッグフレンドリーなステーションワゴン(ボルボではエステートと呼びます)のボルボ「V60」の車高(最低地上高)を高め、SUVテイストある外観を与えたステーションワゴンとSUVをコラボレーションさせたのがクロスカントリー。しかも全高は1505mmと、多くの立体駐車場の車高制限1550mmをクリアしているのです。



愛犬はシート長470mm、シート幅1350mmという、たっぷりとしたサイズ、かつ3ヶ所ものエアコン吹き出し口を備えた後席はもちろん、通常奥行き1010mm、幅1020mm、最小天井高660mm、後席格納最大フロア奥行き1670mmのラゲッジルームに乗せることができます。

ボルボは純正ドッグアクセサリーも充実し、車内を汚さず、快適・安全に愛犬とドライブすることが可能。このV60 クロスカントリーなら、季節、路面、天候を問わず、愛犬とのドライブを楽しむことができるのです。もはやステーションワゴンかSUVか、で悩むことはない1台と言えるでしょう。

もちろん、ボディーサイズや価格にこだわらない、というなら、ボルボ『V90 クロスカントリー』という選択肢もあります。

同様の車種として、スバルの『レガシィ アウトバック』があり、悪路走破性は抜群。全高は1605mmと、立体駐車場の入庫容易性では後退するものの、ステーションワゴン×SUVというパッケージは大いに魅力的です。

愛犬が中・小型犬なら、スバル『XV』という素晴らしいクルマもあります。走行性能、悪路走破性ともに、クラスベスト。アイサイトver.3という先進安全支援機能も、愛犬とのドライブをより安心・安全なものにしてくれるでしょう。



ミニバン × SUV

両側スライドドアと3列シートを備えるミニバンは、愛犬の乗降性、人、犬、荷物のフォーメーションの自在度において、ドッグフレンドリーポイントはかなり高いクルマです。犬は2列目席、3列目席、3列目席を格納した拡大ラゲッジスペース、片側を格納した3列目席に乗った飼い主のすぐ横の縦長拡大ラゲッジスペースなどに乗せられ、長期のドライブ旅行の荷物も積みやすいのが大きな魅力。ホンダ『ステップワゴン』なら第5のドア、バックドアのわくわくゲートの横開きサブドアからも人と犬が乗降できたりします。



実際、わが家が大人4人+大型犬のラブラドールレトリーバーのマリアと小型犬のジャックラッセルのララを乗せ、3泊4日のドライブ旅行に出掛けたことがありますが、キャリーケース×4、2頭分のマイベッドを含む大荷物まで無理なく積載することが可能でした。2名+多頭+荷物であれば、ステーションワゴンやSUVでもOKですが、さすがに4名乗車となると、ミニバンにかなうものはありません。

が、ミニバンを狙いつつも、今、大ブレークしているSUVの悪路走破性にもそそられる…そんな愛犬家も少なくないと思います。特に悪路の先にある、愛犬と過ごすのに最高の場所を目指す、犬が大好きな白銀の世界によく出掛ける…そんな愛犬家にとっては、ミニバンの実用性とともに、SUVの頼りがいある走破性が譲れないわけです。

が、こちらも心配無用。新型三菱『デリカ D:5』は3列シートミニバンの実用性と、三菱SUVならではの本格SUV性能&走破性を見事にクロスオーバーさせた1台。



いや、世界最強の走破性を誇るミニバンと呼んでもいい存在なのです。新型はクリーンディーゼルターボエンジンのみの設定で、経済性、足の長さでも魅力的。フロアは最低地上高185mmを確保するため、乗用ミニバンより高めではあるものの、両側スライドドアによる乗降性、3列シートならではの人と犬の乗りやすさ、荷物の積載のしやすさはもう抜群です。ミニバンにしようか、SUVにしようかで、もう悩む必要なしの、世界的にも希少な1台が、新型デリカD:5というわけです。

ちなみに三菱には、最強のドッグフレンドリーカーと呼べる、SUV×PHEVの『アウトランダー PHEV』もラインアップされています。



青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータの蓄積は膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍も手がけ、また、愛犬とのカーライフに関するテレビ番組、ラジオ番組、イベントに出演。愛犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

アウディ A4《撮影 青山尚暉》 メルセデスベンツ Cクラス(C220d)《撮影 青山尚暉》 三菱 デリカD:5 新型《撮影 青山尚暉》 三菱 デリカD:5 新型《撮影 青山尚暉》 ジャガー I-PACE《撮影 青山尚暉》 ホンダ ステップワゴン わくわくゲート《撮影 青山尚暉》 【青山尚暉のわんダフルカーライフ】令和の時代に送るドッグフレンドリーカー選びの悩み、一挙解決!《撮影 青山尚暉》 ボルボ V60クロスカントリー T5《撮影 中野英幸》 ボルボ V60《撮影 青山尚暉》 ボルボ V60《撮影 青山尚暉》 ボルボ V90CC《撮影 青山尚暉》 ボルボ V90CC《撮影 青山尚暉》 スバル レガシィ アウトバック リミテッド《撮影 太宰吉崇》 スバル XV《撮影 青山尚暉》 三菱 アウトランダーPHEV《撮影 青山尚暉》