大規模修繕を経て2019年4月20日にグランドオープンした「海ほたる」《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》

年間来場者数750万人以上。1日平均2万人がおとずれる自動車の海上PA「海ほたる」。世界でも類をみない、海上に浮かぶ高速道路の休憩所として、海外からも多くの観光客を引き寄せる海ほたるが、またまた進化。その第一印象は「流行りの大型クルーズ船にいる気分」だ。

きょう4月20日にグランドオープンした海ほたる。新しくなったところはどこかというと、潮風と日差しをダイレクトに感じられて最も人気があった5階。今回の大規模修繕では、この潮風と日差しを、逆にシャットダウンした。

◆オープンデッキをあえて室内空間に

「内陸と違って想った以上に天候が変わる沖合の上。さっきまで晴れてたのに急に雨が降ってきたってなって、残念がるお客さんがいた。そんな思いをさせないように、5階の通路に屋根をつけて屋内空間とした」

配られた資料にもこういう表現がつづられている。「海に浮かぶ豪華客船がさらにラグジュアリー感あふれる空間に」と。その設計思想は伝わる。屋内空間となった5階通路は、最新の国内フェリーや、クルーズ船にみられるような、大きな窓に映る青空を愛でながら、ソファやデッキでくつろげる空間になった。

大きなガラスに包まれてるから、気分はオープンでありながら室内にいるというわけで、いままでの屋外フロアより暖かく感じる。潮風もなく、Tシャツになりたいくらいの気持ちいい空間なので、自動車専用道路であることを忘れて、スタッフに「あ、お願いします。冷たいビールを」と注文したい感覚にもなる。

その5階には、新規店舗のオーシャン・キッチン(洋食)、海鮮三崎港(回転寿司)、HOTARU cafe(テーマ型カフェ)が開店。とくにHOTARU cafe は、旬のテーマやキャラクターとコラボしたカフェを展開。その記念すべき第一弾は、アニメ「ONE PIECE」とコラボ。早くも、インスタねらいの女子たちが、店内でスマホをカシャカシャ……。

◆海上要塞にシアターを

「海ほたるに行きたい」と思わせるような、滞在型コンテンツも拡充。「土木のアポロ計画」と称された東京湾アクアラインの建設工事プロセスを立体的映像で紹介する「うみめがね〜アクアラインシアター〜」は、設計から施工まで、当時の最先端技術や技法、世界が注目した工法について、映像で紹介。思わず「こうやってつくったのか!」と見入ってしまう。

ここであらためて思うのは「なぜ川崎側が地下で、木更津側が海上橋脚か」だ。ちょうど、NEXCO東日本の担当者がいたから聞いてみた。

「東京湾の船舶航路を確保するために、東京湾のなかでも航路密度が大きかった川崎側を地下にすることになった。羽田空港を離着陸する航空機に影響がないようにという含みもあった。物理的な支障のほか、夜間の誘導灯にも影響があるんじゃないかといった理由から、といわれている」

この話題は「うみめがね〜アクアラインシアター〜」では語られてない。NEXCO東日本と東京湾横断道路、東京湾アクアライン管理事務所の3社が「伝えたいこと」からなぜこぼれたのか!? ちょっと気になるところ。

それはさておき、東京湾アクアラインと、その途中にある海ほたるは、世界的にみてもめずらしい存在。料金体系もいろいろ意見が飛び交う東京湾アクアライン。一筋縄ではいかない、海底・海上ルートの今後を思いながら、世界唯一の海上要塞「海ほたる」の新しくなった空間を、この10連休で感じてみて。

リニューアルオープンした「海ほたる」《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》 リニューアルオープンした「海ほたる」《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》 リニューアルオープンした「海ほたる」《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》 リニューアルオープンした「海ほたる」《撮影 大野雅人(Gazin Airlines)》