IAAE 2019:NGK≪撮影:中尾真二≫

日本特殊陶業(NGK)はIAAE 2019において、スパークプラグやイグニッションコイルの製品展示の他、VRを含む体験コーナーを設けていた。記者も挑戦してみた。

まず、VR(バーチャルリアリティ)を利用したプラグ交換手順の体験コーナー。ゴーグルを装着してもらい、Viveタイプのコントローラ(輪っかのついた棒)を受け取る。ゴーグルの画面(視界)には、ボンネットを閉じたクルマが見える。この状態からスタートさせるが、右方向を向くと、注意書きとシミュレーション開始のボタンが見える。コントローラーでOKボタンを「触って握る」とスタートする。

作業はボンネットをあけるところから開始される。なにかを掴んだり握ったりする動作は、コントローラーのトリガーボタンを押すことで認識される。コントローラーを持っている位置には手が表示されるので、その手をボンネットに持っていき「つかむボタン」を推すと、ラッチが外れた状態となり、そのまま上に持ち上げると、ボンネットが開く。

次に、エンジンヘッドカバーを外し、コイルがついたソケットを取り外す。右側には工具箱は見えている。作業ごとに必要な工具は色が変わるので、次にどれを使うかがわかる。T字レンチでカバーをはずし、プラグレンチでプラグを緩める。チューブでプラグを抜き取り、焼け具合をチェックしたら、新品プラグをチューブにセットしてエンジンヘッドに差し込む。あとは、逆の手順でボンネットを閉めるまでを体験する。

レンチを回すといった細かい動作は、コントローラを持ちながらなので、実際の操作や動作とは異なる。細かい作業のシミュレーションにはならないが、必要な道具と手順を覚えるには役立ちそうだ。また、実際に手や体を動かすので、終わったあとの記憶の残り方も、本や手順を読んだだけとは異なる。

とくに、最近のエンジンはメンテナンス時にプラグへのアクセスがしにくい構造になっている。ボンネットをみただけでは、どこにプラグがあるのか、どれを外す必要があるのかわからない。VRで車両ごとの手順を体験できるのはよいトレーニングになりそうだ。

もうひとつの体験は、表示部をマスクしたトルクレンチを使って、プラグの適正トルクまで締め付ける「トルクチャレンジ」だ。エンジンヘッドのモデルに対して、本物のプラグを装着して締め付ける。レンチの感覚で15~22kgmというトルクで締められれば成功だ。

記者はもう何年もプラグ交換などしていないので、ちょっと慎重になりすぎて9kgmくらいでとめてしまった。

昔はプラグは消耗品だったり自分でギャップ調整などもしたが、いまは、5万キロくらい無交換のエンジン、プラグが増えている。車載工具にプラグレンチがなくなったのももう10年以上前からだ。製品としてのクルマは、ユーザーがボンネットを開けて整備をする前提になっていない。

あらためてVRでのプラグ交換と実際のレンチでの締め付けをやってみて、昔の日曜メンテナンスを思い出した。

IAAE 2019:NGK≪撮影:中尾真二≫ VRでボンネットを開けるところ≪撮影:中尾真二≫ ヘッドカバーをはずす≪撮影:中尾真二≫ T字レンチでコイルをはずづ≪撮影:中尾真二≫ トルクチャレンジ:手前のトルクレンチはテープでマスクしてあるので、手応えで適正トルクで締めることができるかに挑戦≪撮影:中尾真二≫ 新品プラグと劣化プラグの放電を比較している≪撮影:中尾真二≫ IAAE 2019:NGK≪撮影:中尾真二≫ IAAE 2019:NGK≪撮影:中尾真二≫ IAAE 2019:NGK≪撮影:中尾真二≫