吉利集団とのパートナーシップにより誕生したプロトン初のSUV「X70」《撮影 会田肇》

5年ぶりの開催となったクアラルンプール国際モーターショー2018(KLIMS 2018)で、最大の話題がプロトン初のSUV「X70」だ。プロトンは2017年5月に中国の吉利集団とパートナーシップを結んで以降、X70はその最初のモデルで、年内にもマレーシア国内で発売される予定だ。

◆グレードは3つ、FFと4WDを用意

グレードは「標準」と「エグゼクティブ」「プレミアム」があり、駆動方式は基本を2WDとするが、エグゼクティブのみ4WDが用意される。搭載するパワーユニットは、1.8リットルのターボチャージャー付ガソリン直噴エンジン「TGDI」と6速ATとの組み合わせ。FFモデルは0→100km/hが10.5秒、燃費は100kmあたり7.8リットル(12.8km/リットル)と発表されている。

価格は今のところ未発表だが、標準グレードで300万円を下回る見込みだという。すでに1万台を超える予約が入っており、そのうち2000件近くがオンラインによるもの。プロトンとしては初めての試みだったが、今回の成果は今後の新たな販促活動に反映させていく計画ことにしているという。

◆魅力は先進的な装備、ナビには不満

X70の魅力となっているのは、先進的な装備が満載されていることだろう。先進のインフォテイメント「GKUI」は、センターコンソールに8インチのタッチスクリーン・インターフェースを装備したもので、ディスプレイはハイビジョンクラスの高精細な解像度(1280×720)。エグゼクティブとプレミアムには車両の周囲360度をチェックできるマルチビューカメラも搭載した。

面白いのはUSBポートで、6つのポートのうち一つはルームミラーそばに用意。これはドライブレコーダーなどの電源用として活用できる。これによってユーザーは電源ケーブルを引き回す必要がなくなるのだ。

一方で、マレーシアの人たちにとって残念と評されているのは、ナビゲーションにBaidu Mapsを組み合わせていることだ。マレーシアでよく使われているWazeには非対応となっており、さらにCarPlayやAndroid Autoにも対応していないのだ。

◆「Hi、Proton」で様々な車内装備をコントール

インフォテイメント・システムにはe-SIMを搭載し、最大150Mbpsの速度を持つ4G LTEをサポート。Wi-Fiワイヤレスポットとしても機能する。音声認識はクラウドへ接続されており、「Hi、Proton」と発するだけで車内の様々なシステムを制御可能となる。ラジオや音楽を再生できるだけでなく、エアコンやサンルーフ、パワーウインドウの操作を音声でコントロールすることができるのだ。

エアコンでは音声で「寒い気がする」と言うと、気温が上昇し、「空を見たい」と言えば、サンルーフを開ける。また、ナビゲーション機能とも連携でき、「お金を引き出したい」と言えば最寄りのATMを探し出し、「空腹」と言えば一番近いレストランを探すことが可能だ。

◆ASEAN NCAPでは最高評価の5つ星

X70は高い安全性も大きなポイントとする。東南アジア諸国の新型車評価プログラム(ASEAN NCAP)では最高評価の5つ星を獲得。すべてのグレードに対応した6つのエアバッグをはじめ、ISOFIXチャイルドシート取り付けポイント、プリテンショナー付きシートベルト、ロードリミッターを装備。これによって頭部保護技術と同様、側面衝撃試験で完璧なスコアをもたらしたのだ。

その他、プロトンとして安全運転アシスト機能も初搭載。衝突軽減ブレーキはもちろんのこと、前方衝突警告やレーンデパーチャー・アラート、ブラインドスポット・システムを搭載。ASEAN NCAPでの高得点を獲得したのはこうした装備が功を奏したのは間違いない。

プロトンX70《撮影 会田肇》 プロトンX70《撮影 会田肇》 プロトンX70 インフォテイメントシステムには8インチディスプレイが組み合わされた クラウド経由で行う音声アシストにより、様々な車内装備のコントロールができる プロトンX70。プレミアムにはナパレザーシートを装備《撮影 会田肇》 助手席のシートスイッチをサイドに装備《撮影 会田肇》 エンジンは1.8リットルのターボチャージャー付ガソリン直噴「TGDI」《撮影 会田肇》 プレミアには19インチホイールが装備される《撮影 会田肇》 プロトン「X70」にはサブウーファーを含む9スピーカーを搭載 オーディオはケンウッド製 USBポートは計6個用意される ルームミラーそばに用意されたUSBポート ASEAN NCAPでX70は最高得点を獲得した プロトン「X70」のフレーム」 X70には吉利集団の銘板が貼られていた《撮影 会田肇》