外骨格つきサポートジャケット:作業不可、目的によってランバーサポートが2種類《撮影 中尾真二》

●装着しやすく安価な無動力タイプ

UPRはもともと物流パレットを作っている会社。倉庫などでの作業員向けのパワーアシストスーツも手掛けているが、国際物流総合展2018では、発表したばかりのアシストスーツ「サポートジャケット」を展示していた。特徴は2万5000円という値段。

UPRは、バッテリー、圧縮空気などを利用した動力式アシストスーツをラインナップしている他、無動力タイプでは人工筋肉やサポートベルトを利用したモデルなど、用途に応じたアシストスーツを市場展開している。どれも動力やアシストアームなど機械を背負うというより、文字通りハーネスやサポートベルトを装着するタイプで、装着しやすい特徴もある。

●背骨の角度を規制し、姿勢を維持する

10月に新製品として発売されるものは「サポートジャケット」と呼ばれるもので、装着するだけで背骨の位置や姿勢を最適に保ち、力を出しやすく、ホールドしやすくしてくれる。姿勢や背骨の制御は「ボーン」と呼ばれる樹脂製の外骨格が行う。これが背中に密着することで、持ち上げ時の背骨の角度を規制し、背骨や腰骨に負担がかからない姿勢を維持する。

膝の動きについては後ろ側のゴムベルトが筋肉の動きをアシストしてくれる。コルセット風に腰骨に巻き付けるベルトは腹筋を押さえつけ腹圧を上げてくれる。ウェイトリフティングの選手がお腹に撒いているサポートベルトと同じ役割を果たすものだ。

無動力で人工筋肉も使わないので、力の増幅よりも、負担のかからない姿勢と筋肉の使い方になることに注力したアシストスーツだ。動力や人工筋肉による介入はないが、その分装着も簡単で(通常1分もあれば装着可能)、作業の自由度が各段に高い。

動力式は物を持ち上げるといった機能に特化するものが多く、スーツを装着すると他の作業ができない、やりにくいという問題がある。UPRのサポートジャケットは、フォークリフトの運転もできるし、荷物の持ち上げだけでなく横移動、持ち上げた姿勢の保持などをアシストしてくれる。装着したままさまざまな作業ができ、背中や腰への負担も軽減できる。

●実際に装着、効果を実感する

自分でも装着してみた。装着はリュックを背負うように上半身のストラップを腕に通し、腰骨のサポートを止める。マジックテープになっている。その後、ゴルフシューズやスキーブーツにあるようなダイヤルでサポートの締め付けを調整する。膝の動きをサポートするゴム(筋肉アシスト)ストラップをひざ下に固定する。最後に肩ストラップを調整する。

重いものではないが、会場の椅子を持ち上げてみた。サポートジャケット自体の違和感はあまりない。サポーターをつけているという感覚はあるが、動きにくいというほどではない。会場では、スタッフもサポートジャケットを装着しながら説明していたくらいなので、慣れれば、普段通りの作業が可能だろう。

無動力なので、少ない力で重いものが軽く感じるということはないが、中腰で姿勢を保持するとき、背骨が丸くならないので(必然的に膝が曲がる)背中に余計な力を入れないで済む。背骨や腰への負担も軽減されているはずだ。

サポートジャケットは、あえて動力を使わず、日々の作業の負担軽減を特殊な外骨格で実現するというアプローチが面白い。価格も2万5000円からと低く抑えられているので、アシストスーツを特殊な機器として使うのではなく、作業着の延長として多くの作業員に支給することもできる。

国際物流総合展:UPRの無動力アシストスーツ《撮影 中尾真二》 動力付き、人工筋肉などを使ったUPRのアシストスーツ《撮影 中尾真二》 国際物流総合展:UPRの無動力アシストスーツ《撮影 中尾真二》 国際物流総合展:UPRの無動力アシストスーツ《撮影 中尾真二》 UPRはパレットの他、物流ソリューションを手掛ける企業《撮影 中尾真二》