ポールポジションを獲得した#1 石浦宏明。《撮影 遠藤俊幸》

18日、スーパーフォーミュラ(SF)第5戦の公式予選が栃木県のツインリンクもてぎで行なわれ、前年王者の石浦宏明がポールポジションを獲得した。石浦のポールは今季初。予選2-3位にはDOCOMOダンディライアン勢の野尻智紀と松下信治がつけている。

金曜フリー走行があった前日はセッション開始時の気温が30度を、路温も40度を超えており、関東一円で一様にいわれたほどの涼しさは(個人差あるだろうが)感じにくかった日中のもてぎ。日が落ちる頃には涼しさを通り越して半袖では肌寒いくらいになったが、一夜明けた予選日も、この時季にしては風が涼しげとはいえ、日差しに晒されるとやはり暑いコンディションとなった。14時30分の予選開始時は気温32度、路温42度(路面ドライ)。

今季の3段階ノックアウト予選はQ1がミディアムタイヤのみ使用可、Q2〜Q3ではソフトも使用できる原則のもとで実施されている。今回、ポールポジションを争う最終のQ3にはトヨタ勢3台、ホンダ勢5台が進出してきた。前日とは違い、この日は朝のフリー走行からホンダ勢が盛り返し気味の流れである。

そしてQ3の最終局面は、ホンダエンジンを搭載するDOCOMO TEAM DANDELION RACINGの#5 野尻智紀と#6 松下信治が1-2占拠を決めたかと思われる流れに。しかし、最後の土壇場でディフェンディングチャンピオン、トヨタの総大将ともいえる#1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING)が魅せた。1分31秒591を叩き出し、#5 野尻を0.051秒上回ってポール獲得を決めたのである。

過去3年で2回の個人戴冠を誇る#1 石浦だが、これが今季初ポール。存在感は発揮しているのだが、今季はここまで優勝もない。この日は朝のフリー走行で赤旗中断の原因になるなど、ちょっとイヤなムードもあった。しかしながら、予選でしっかり見せ場をつくって、それをものにする集中力はさすがだ。現在ポイントランキング3位ながら、上位2名には前戦終了時点で8〜9点離されていただけに、ここでポール得点「1」をゲットしたことはもちろん、明日の勝利(10点獲得)への最短距離につけられた意味は#1 石浦にとって大きい。

#1 石浦宏明のコメント
「僕は普段、あまりランキングを気にしないんですけど、今回はここに来る前、気にしてきました。チャンピオンを獲るためには、逆算するともう、ここが結構な正念場のタイミングです。エンジニアともクルマのことを(いつも以上に)細かく話し合ってきました。それが予選で結果に反映されて、まずはホッとしています」

#1 石浦にとっては第三子誕生という嬉しい出来事もあった直後のレース。そして今季ここまではビハインドの展開が続いているタイトル争いの流れを大きく動かすためにも、「大事なのは明日」。#1 石浦はポール・トゥ・ウインでの今季初勝利を狙っていく。

予選2〜3位は、ポール獲得の#1 石浦をして「(トップ3会見で)隣の2台がQ1から速かった」と言わしめたDANDELION勢、#5 野尻と#6 松下。4位には#64 N.カーティケヤン(TCS NAKAJIMA RACING)がつけ、ホンダ勢はポールこそ逃すも予選2〜4位をかためた。

予選5〜6位には近藤真彦監督率いるKONDO RACING(エンジンはトヨタ)の2台。現在ポイントランク2番手の#3 N.キャシディが5位で、#4 山下健太が6位につけた。予選7位には目下のポイントリーダー、#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)が続いており、このあたりの決勝での順位動向はタイトル争いの流れにも大きく影響してきそうだ。予選8位に作戦巧者な陣営の#17 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)がいることも、レースを動かしてくれそうな予感を醸成する。

52周、約250kmの決勝レースは、ドライコンディションならばソフトとミディアム、両方のタイヤを使用する原則のもとで実施される。温度条件とピット戦略が複雑に絡み合う展開も予想されるところ。激戦必至のSF第5戦もてぎ決勝は、明日(19日)の14時15分過ぎにスタートが切られる予定だ。

左から予選2位の野尻、ポールの石浦、3位の松下。《撮影 遠藤俊幸》 予選2位の#5 野尻智紀。《撮影 遠藤俊幸》 予選3位の#6 松下信治(のぶはる)。《撮影 遠藤俊幸》 予選4位の#64 カーティケヤン。《撮影 遠藤俊幸》 予選5位の#3 キャシディ。《撮影 遠藤俊幸》 予選6位の#4 山下健太。《撮影 遠藤俊幸》 予選7位の#16 山本尚貴。《撮影 遠藤俊幸》 予選8位の#17 塚越広大。《撮影 遠藤俊幸》 予選日終了後、もてぎのレースを支えるオフィシャルたちに、星野一義さん(IMPUL監督)が感謝の意とと応援の旨を述べた。《撮影 遠藤俊幸》