ソフトタイヤでもてぎ戦の金曜トップタイムをマークした#8 大嶋和也(写真はミディアム装着時)。《撮影 遠藤俊幸》

全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第5戦のレースウイークが17日、栃木県のツインリンクもてぎで始まり、金曜フリー走行のトップタイムを大嶋和也がマークした。

全7戦で争われる今季SF、このレースからエンジンが後半戦仕様(今季2基目)へと切りかわり、タイトル戦線も争覇圏内(ランク上位)への生き残りをかけた局面へと突入。8月もてぎ、9月岡山国際、そして10月の最終戦鈴鹿という流れで、シーズンはここから加速度的にクライマックスへと向かっていく。

今回のレースウイークは世界耐久選手権(WEC)の英国シルバーストン戦と日程が重なっており、#36 中嶋一貴と#18 小林可夢偉はSFを欠場。そのため、それぞれ代走として#36 J-P.デ.オリベイラ(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)、#18 中山雄一(carrozzeria Team KCMG/トヨタ)が参戦する。オリベイラはこのカテゴリーの2010年王者、中山は当該チームでのレギュラー参戦経験がある選手だ。

また、開幕戦参戦以降はFIA-F2との日程重複によりSF欠場が続いていた新人・福住仁嶺が、今回からTEAM MUGEN(エンジンはホンダ)の15号車に復帰。以上の3台以外の16台は前戦富士と同じドライバーが継続搭乗して、もてぎ戦に臨む。

金曜フリー走行(専有走行)は午後3〜4時に実施された。コンディションは熱暑、路面はドライ。タイヤ運用規則の兼ね合い等から、2種類あるドライ用タイヤのうちの軟らかい方=ソフトはこのセッションではあまり使用されないが、そんななか、19台中唯一と見られるソフト使用でトップタイムをマークしたのが#8 大嶋和也(UOMO SUNOCO TEAM LEMANS/トヨタ)だった。

実は#8 大嶋、セッション中盤にS字付近でコースアウト〜ストップがあり、車両回収のための赤旗中断を呼ぶという一幕もあったのだが、セッション後半には復活し、ソフトで1分33秒772をマークした。ただひとりのソフト使用と見られる状況でのトップタイムは当然といえば当然、2番手とのタイム差もコンマ3秒程度だったので、「満足ではないですね」と大嶋。

ただ、「とりあえずクルマの様子を見ながら、そこそこ攻めていただけでしたからね」。つまり大嶋自身もまだまだ伸びしろは充分に残っている状況だった。それに内容や状況にいろいろな要素が絡むとはいえ、トップタイムはトップタイム、なにより「あのまま赤旗の原因をつくっただけで終わるよりは良かったですよね」。コースアウトこそあったが、前戦で今季初入賞7位に入った良い流れ自体は続いていると見てもよさそうな大嶋だ。連続入賞、そしてさらなる上位躍進に期待がもたれる。

金曜の走行ではなかなか戦況の全貌を読めないのが今のSFの特徴ではあるが、全体としてタイムの出方はトヨタ勢の方が優勢に思われたセッション展開だった。もてぎは伝統的にトヨタが得意とするコースだが、果たして予選〜決勝でどうなるか。

金曜2番手タイムは#4 山下健太(KONDO RACING/トヨタ)で1分34秒075。ホンダ勢首位は全体3番手の#65 伊沢拓也(TCS NAKAJIMA RACING/ホンダ)で、タイムは1分34秒132。現在チャンピオンシップポイント首位の#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)は17番手タイム、それを1点差で追う前戦ウイナー #3 N.キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)は7番手タイムだった。

3段階ノックアウト予選は明日(18日)の午後2時30分開始予定。オーバーテイクの難しいコースといわれるもてぎだけに、予選での先陣争いはいつも以上に緊迫感を増す。コンディションも含めて、“熱い”勝負が展開されることになりそうだ。

現在ポイントランキング首位、#16 山本尚貴。《撮影 遠藤俊幸》 現在ポイントランキング2位の#3 キャシディ。《撮影 遠藤俊幸》 中嶋一貴に代わって参戦、#36 オリベイラ。《撮影 遠藤俊幸》 小林可夢偉に代わって参戦、#18 中山雄一。《撮影 遠藤俊幸》 開幕戦以来のSF復帰となる#15 福住仁嶺。《撮影 遠藤俊幸》 SFもてぎ戦は“熱い”レースウイークになりそうだ。《撮影 遠藤俊幸》 ピットストップ作業高速化をめぐるチーム間の競争も加熱中で、ライバルチームの作業練習をさりげなく偵察するシーンもチラホラ。《撮影 遠藤俊幸》