(左から)新江ノ島水族館の竹嶋徹夫館長、開発者の京セラ半導体部品セラミック材料事業本部の横井清孝氏、京セラの奥ノ薗隆志執行役員、静岡大学のカサレト・ベアトリス・エステラ教授《撮影 山田清志》

京セラは7月26日、都内のイベントホールでLED照明事業の説明会と新製品発表会を開催。LED照明ブランド「CERAPHIC(セラフィック)」に新たなロゴを導入し、LED照明事業の一層の拡大を図っていくという。

セラフィックは京セラ独自の技術である紫色LEDとRGB蛍光体により光をつくり出すもので、その光の調合技術によって、太陽光に非常に近い光や再現したい光のスペクトルへのカスタマイズが可能。これまで手術灯や自動車塗料の検査用照明として一部使われてきた。

「今回は新たな展開分野としてアクアリウム市場に挑戦していく」(奥ノ薗隆志執行役員)と、4種類のアクアリウムLED照明を発表し、8月中旬から販売を開始する。その4種類とは、地上、海中2.5m、海中11mの太陽光スペクトルを再現した3種と、観賞用の1種で、水槽内のサンゴや水草の生育を助けるものだという。

一般的なLED照明では、サンゴや水草にストレスを与えてしまい、なかなか生育しないそうだが、京セラのセラフィックは違うのだ。事実、静岡大学の実験では、一般的な照明に比べてサンゴが大きく成長した。また、新江ノ島水族館でも水草が育つことを確認した。

その秘密は京セラのセラフィックが1つの光源で太陽光に近い光を出し、色むらができないことにある。これによって、サンゴや水草にまんべんなく太陽光に近い光が当たり、光合成がしやすくなるからだ。

価格は約10万円で、アクアリウム専門ショップで販売していく。年内には水族館用の大型のものも販売する予定で、アクアリウムLED照明で2021年度10億円の売り上げを目指す。そのほか、手術室用や自動車塗装検査用などにさらに力を入れ、現在数億円のLED事業を23年度には100億円に引き上げる計画だ。

「今後、さまざまなニーズに応えるLED照明を展開していく」と奥ノ薗執行役員は話す。これから自動車工場の現場で、京セラのセラフィックLED照明が活躍する場面が増えそうだ。

8月中旬に発売予定のアクアリウムLED照明《撮影 山田清志》 京セラのセラフィックLED照明と一般のLED照明の違い《撮影 山田清志》